1(総タイトル) たそがれSpringPoint

1.1x(雑文過去ログ) 出ぬ杭は打たれぬ

1.11313(2005/02/21) 『ハイペリオン』を駸々と読むよ

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050221a

本日の進捗状況:『ハイペリオン』(上)182ページ

「司祭の物語:神の名を叫んだ男」を一気に読んだ。この部分だけでほぼ独立した中篇小説といえる(が、たぶん迷宮九惑星のくだりなどは今後の伏線になっているのだろう)。面白かったが、非常に疲れた。

メモ:さて次の企画は2/20のコメント欄能楽師ニュースサイト管理人が降臨!

1.11314(2005/02/21) 『ハイペリオン』を唯々諾々と読むよ

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050221b

本日の進捗状況:『ハイペリオン』(上)191ページ

「全然進んでいないではないか」

うむ。だが案ずるには及ばない。今日は『食卓にビールを3』(小林めぐみ/富士見ミステリー文庫)を読了したのだから、私の読書意欲が失せたわけではない。

では、早速感想を……

「そんな暇があったら、さっさと『ハイペリオン』の続きを読みなさい」

あああ、ちょっと待って。一つだけ紹介しておきたいシーンがあるんだ。

メガネ君。それは乙女の憧れの的。いや、最近はいい年したおばちゃんたちも好きであるようですが、大きなお兄さんたちが「メガネっ娘」を好きなように、今いちばん人気なメンズキャラクターなのです。もちろん属性は「知的で美形、家庭に問題アリ、喋り方はデスマス調」でなければなりません!

「で?」

いや、家庭に問題がなくてもいいから、身体虚弱で体力がなく番長(死語)やら三下(死語その2)やらにボコボコにされているところを腕まくりお嬢さんに助けられるというシチュエーションは欠かせないのではないかと思ったんだが。

「腕まくりお嬢さん、って何だよ」

まあ、それはともかく『食卓にビールを』は巻を重ねるに従って物語に深みが増すわけでもなく、隠された謎が徐々に姿を現すわけでもなく、ただただひたすら馬鹿話を繰りひろげるマンネリズムが魅力で、このまま三ヶ月に一冊のペースで末永く続けてもらいたいと思うわけだ、私は。あと、希望を述べるなら「食卓にビールを☆愛慾篇」(「欲」ではなくて下心つきの「慾」というのがポイント)とかやってくれないかなぁ。

「富士ミスでそれは無理でしょう」

いやいや、同人誌という手がある。あっ、そういえば去年の冬コミで小林めぐみの同人誌を買ったのをすっかり忘れてた。確か『食卓にビールを』の番外篇か何かが載っていたはず。

「えっ、それホント?」

ホントホント。でも残念ながら本の山に埋もれて出てこない。

「ダメだ、こりゃ」

1.11315(2005/02/22) 『ハイペリオン』を延々と読むよ

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050222a

本日の進捗状況:『ハイペリオン』(上)読了

1冊読んで、なんとなくノリが掴めてきた。最初は登場人物が多くてとまどったが、別にどの台詞を誰が喋っていて、その人物がどんなキャラクターなのかなどと考える必要はない。各挿話にはさほど大勢の人物が登場しないので、わりと読みやすい。この調子だと、読むのが苦痛でたまらないということはないだろう。

でも、続けて読むとさすがにしんどいので少し休憩しようと思う。次回更新は全然関係ない話題を取り上げる。

もちろん、ここで『ハイペリオン』シリーズを読むのをやめるわけではない。これだけ多くの人に読めて私に読めない筈はないのだから。むしろ、読んでない人を思い浮かべるのが大変ですよ。とまで言われると意地でもやめられない(でも、タカアキラ氏がリストアップした人々のうち半分くらいは全然知らない人だけど)。

いま、ふと思いついたのだが、ミステリ系更新されてますリンク登録サイト管理人について同じように調べてみたらどうなるだろう? 『ハイペリオン』シリーズに相当するシリーズといえば、クイーンの国名シリーズか。発表年代も当該ジャンルにおける位置づけも全然違っているが、「長門有希の100冊」では最初が『ギリシア棺の謎』で2番目が『エンディミオン』、というふうに並べられている(ちなみに3番目は『ウロボロスの偽書』だが、ここから先は考えないことにしよう)。

思いついたのはいいが、いちいち調べるのは面倒なので、特に何もしない。国名シリーズを全部読んでいる人は全体の3分の1くらいではないかと思うのだが……。

1.11316(2005/02/23) ないものはない

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050223a

はるか昔のことなので記憶は定かではないが、アニメの『一休さん』にこんな話があった。桔梗屋さんが将軍様に自分の店には「ないものはございません」と自慢したところ、将軍様に「では、馬の角を持ってこい」と言われ、弱り果てて一休さんに相談する。一休さんは座禅を組んでとんちがひらめき、将軍様にこう言うのだ。「馬の角などというものはございません。ないものはないのです」と。

日本語の「ないものはない」という表現には二つの意味があることを私は知った。だが、この表現にどうして二つの意味が宿るのかは長らく謎だった。一方は「ダメなものはダメ」と同じく同語反復であり、主として確認や強調に用いられる。他方は「できないことはない」と同じく二重否定であり、言い換えれば「なんでもある」という全肯定だ……そんなふうに説明をつけてみたが、それで謎が解消したわけではない。

この謎は慶應義塾大学飯田隆教授の論文「存在と言語――存在文の意味論」GoogleによるHTML版)によってあっさりと明かされた。「ある」には所在・存在・所有という三つの用法がある。そのうちで、所在と所有はしばしば同種のものとみなされているが、そうではなくて別の用法である、というのがこの論文の前半の議論だ(後半はよりテクニカルな議論になるのでここでは触れない、というか私にはよくわからなかった)。「ない」は「ある」の否定だから、「ある」と同様に複数の用法をもつ。「ないものはない」には「ない」が二度現れるが、両者が同じ用法か別かによって「ないものはない」の意味が異なるのは明らかだ。

ああ、またどうでもいいことを書いてしまった。

1.11317(2005/02/24) 続『ハイペリオン』を延々と読むよ

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050224a

本日の進捗状況:『ハイペリオン』(下)251ページ

「学者の物語:忘却の川の水は苦く」は非常に面白かった(が、梶尾真治の初期傑作短篇群に比べるとちょっと負けるかも)。時間を忘れて読みふけり、そのまま「探偵の物語:ロング・グッバイ」になだれ込んだのだが、こちらはどうも私の性に合わない。そういえば私は本家『長いお別れ』も途中で放り出したままだ。

それでもなんとか下巻の半分を読んだので、たぶん今週中には『ハイペリオン』を読み終えることができるだろう。

私は家で読む本と通勤中に読む本を分けている。『ハイペリオン』は家用だ。通勤用として三日前から『風の白猿神』(滝川羊/富士見ファンタジア文庫)をぼちぼちと読んでいた。なお、「白猿神」は「ハヌマーン」と読む。

この作品は、めったに大賞が出ないことで有名なファンタジア長編小説大賞受賞作だ。刊行から10年経った今も少し大きな書店に行けば入手可能だというのが凄い。

ただ、内容は事前に期待していたほどではなかった。ロボットアニメの脚本に心理描写を付け加えたような感じ。

『風の白猿神』を読み終えたので、続いて『Girl's Guard 君の歌は僕の歌』(桜庭一樹/ファミ通文庫)を読んだ。先に『竹田くんの恋人』(角川スニーカー文庫)を読んで桜庭一樹がこんな感じの小説も書ける人だと知っていたので驚きはしなかったが、作風の幅の広さにはやはり感心する。

桜庭一樹は谷川流とともに最近の私のお気に入りで、MYSCON参加申込時の自己紹介でも「好きな作家(国内)」に二人の名前を挙げた(ちなみに海外のほうは、J.D.カーとA.H.Z.カーにした)。二人ともレーベル看板作家(谷川流は角川スニーカー文庫、桜庭一樹は富士見ミステリー文庫)なので無理だとは思うが、一般文芸のほうに進出してほしいものだ。さらに言えば、一度ガチガチのパズラーに挑戦してほしいとも思う。

1.11318(2005/02/25) 続々『ハイペリオン』を延々と読むよ

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050225a

本日の進捗状況:『ハイペリオン』(下)300ページ

ああ、全然進んでいない……。

そのかわりに(?)シリーズ全部読んでいる人の紹介。以下掲示板からタグなどを改変のうえ転載する。

ハイペリオンを読んでいる人 投稿者:秀  投稿日: 2月25日(金)10時06分49秒
こんにちは、はじめまして。
秀といいます。

私もハイペリオンを読んでおります。
が、読書系かどうか微妙なところなので、特に紹介していただく必要はありません。
(いちおう、2001年の6月と8月、2002年の12月ごろに、あわせてすべて読んでいます)

私が紹介したいのは私自身ではありません。
読書系サイトを運営している方ではありませんが、作家の山田正紀さんがハイペリオン大絶賛です。
2004年のsfセミナーというイベントに山田正紀さんがゲストでいらしていまして、ちょうど私もそのイベントを見に行ったのですが、その場で「この面白さが本当にわかるのは自分しかいない」と、おっしゃっていました。
『ミステリオペラ』の表紙があんななのもハイペリオンの影響だ、ということも言っていたように記憶しています。
以上です。
http://www.angel.ne.jp/~hidden/diary/diary.htm

言われてみれば、確かに『ハイペリオン』と『ミステリ・オペラ』は挿話が多いことや、さまざまなアイディアがぶち込まれていることなど、類似点が多い。言われてみなければたぶん一生気づくことはなかっただろう。

今年に入ってから私はラノベレーベル以外のミステリを一冊も読んでいない。さすがにこれではいけないと思い、今日はミステリを二冊買ってきた。

『最後の願い』は「ジャーロ」に連載された7篇の短篇を収録した連作短篇集で、『新・世界の七不思議』は「ミステリーズ」に連載された7篇の短篇を収録した連作短篇集である。こう書くと非常によく似た本のようだが、たぶん共通点はこれくらいだと思う。

『最後の願い』はハードカバーなので家で読むことにするが、『ハイペリオン』〜『エンディミオンの覚醒』を読んでからなので、一月くらい積ん読になりそうだ。『新・世界の七不思議』は文庫本なので通勤用にするが、その前にラノベを五、六冊読んでから……などといっていると、いつまで経ってもミステリが読めない。困ったものだ。

1.11319(2005/02/26) 出かける前に早朝更新

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050226a

突然だが、今日東京都写真美術館へ行くことにした。目当てはグローバルメディア2005 おたく:人格=空間=都市だが、時間があえばこれも行くかもしれない。

始発電車に乗って行くのでそろそろ出ないといけないのだが、その前に行きつけのサイトを巡回していると、こここんなのを見かけたので、適当に思いつきを書いておく。

氏名
名駅メイコ
性別
女性
年齢
27歳(見かけは17歳)
職業
メイドさん(ただし失業中)
性格
大雑把
好きなもの
牛丼
嫌いなもの
炊事、洗濯、お料理、(以下略)
略歴
13歳のとき、某メイドマンガを読んで自らの天命を知るも、その後ふつうに中学校、高校を経て、高校卒業後に夢のメイド専門学校に入校。その頃趣味で始めた株取引で莫大な利益を得る。メイド学校卒業後、メイドとして就職を謀る、もとい図るがすべて失敗。メイド喫茶でアルバイトをしているうちに微妙な年齢になったが、まだ野望は潰えてはいない。

おっと、そろそろ出ないと。じゃ、また来週。

1.11320(2005/02/28) 『ハイペリオン』を延々と読む余裕はありません

http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/qed/p0502c.html#p050228a

東京に行っていろいろ見てきた。

まず最初に東京都写真美術館グローバルメディア2005 おたく:人格=空間=都市を見た。前に書いたように、この展覧会は前期と後期にわかれていて、全く別内容となっている。私が見たのはもちろん後期の「おたく:人格=空間=都市」のほうだ。

今回の東京旅行の主目的でもあり、非常に期待していたのだが、展示をみると「やっぱり実物のほうが迫力があるよなぁ」というごく当たり前な印象を受けただけだった。オタク的なオブジェを並べることによって、現実にはあり得ない超オタクを垣間見させてくれたらもっと楽しかったのだが、ヴェネチアでそんなことをやるわけにもいかなかっただろうし、企画段階では秋葉原にも有明にも電車一本で行ける場所で展示することなど想定していたわけもないから、これはまあ仕方がない。

入場料は300円なので、東京近辺の人なら何かのついでに寄ってみてもいいかもしれない。

続いて、同じく東京都写真美術館の文化庁メディア芸術祭を見た。出発前には受賞者シンポジウム「マンガ部門」を見るかもしれないというようなことを書いたが、地方の人間にとって東京滞在時間単価はあまりに高すぎる(交通費や宿泊費などをあわせて有効時間帯の時間数で割るとおよそ二千円程度となった)ので、展示だけ駆け足で見た。

展示品は多種多彩で面白いのもあればどうでもいいものもあった。全般的にみれば複製可能なもの(特に映像作品など)が多かったので、ぜひ地方巡業を実施してもらいたいものだ。バブル期に調子に乗ってハコを建てたものの中に入れるモノがなくて開店休業状態の会館が全国にわんさかとあるのだから。

会場が東京だけというのは不満だが、入場料は無料だし、アンケートに回答するだけでカタログが貰えるし、非常にお得な展覧会であるのは確かだ。

参考リンク:文化庁メディア芸術プラザ

次に訪れたのは明治大学博物館だ。従来の三つの博物館を統合して昨年開館した新しい博物館である。大学史展示室商品部門刑事部門考古部門から成るが、いちばんのみどころは何といっても刑事部門の鉄の処女だろう。

入館料は無料なので、神田古書街へ行くついでにでもどうぞ。

明治大学博物館から少し歩いて日本正教会の東京復活大聖堂を見物。そのそばの小さなお堂にチラシがおいてあったので読んでみた。

正教会は、キリスト教の本家ともいうべき教会です。ハリストス(キリスト)が、復活してお弟子たちに現れてから、お弟子たちは使徒となって、復活の福音を全世界に伝道しはじめました。正教という名称からもわかるように、使徒たちからハリストスの復活の福音を中心にした生活を、今日に至るまで連綿と正しく継承している教会です。

(略)

そのうち、八世紀から十二世紀の間にかけて、ローマ総主教区が、ヨーロッパ育成とともに分家しました。(略)

キリスト教の美的表現は、これまで西洋美術史のうちの前半部分、しかもそのうちの半分、ギリシャ・ローマの古典美術のあとに範疇のひとつとして紹介されてきた。地理的には、キリスト教の美術作品が分布する地域としてヨーロッパがあげられている。

(略)

キリスト教というと西洋のものだけと誤解すると、ロマネスクからはじまる西洋美術のなかのキリスト教美術だけが、キリスト教美術と思う。しかし、実際には、キリスト教美術全体からすると、西欧のキリスト教美術はほんの一部にすぎないのである。

いろいろと思うことがあるのだが、割愛。

ぼちぼち夕方になってきたので、東京駅へと向かう。丸の内北口出てすぐのJAXA i宇宙航空研究開発機構の広報施設)でH-IIAロケットの打ち上げを見るためだ。予定より一時間遅れたが、無事打ち上げられたようだ。

この日、最後に訪れたのは六本木ヒルズ森美術館。そこでアーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展 1950-2005を見た。私は建築にはあまり興味はないのだが、これは面白かった。ただ、時間の都合で展望台に行けなかったのは残念。1500円も払ったのに……。

一日いろいろ見て回って疲労困憊したが、滞在時間単価を考えるとこれでもまだ動き足りないくらいだ。翌2/27は朝から効率的な巡回を目指すことにした。

まずは皇居三の丸尚蔵館へ。午前9時の開館を待ちかねて中に入った。第36回展覧会の最終日だったが、別に見ても見なくてもよかったような気もする。でも無料だから文句は言うまい。

次に上野の東京都美術館ミュシャ財団秘蔵 ミュシャ展 プラハからパリへ 華麗なるアール・ヌーヴォーの誕生を見た。ミュシャなんかどこにでもあるからどうでもいいや、と思って期待していなかったが、これは大きな間違いだった。我々がよく見るミュシャの版画やポスターは彼の全生涯のごく一時期のものに過ぎないのだ。この展覧会は非常によかった。

東京都美術館に行くのは初めてだったので少し散策しようかとも思ったのだが、時間がもったいないのですぐに出た。昼食もとらずに次の展覧会へ向かう。

東京国立博物館金堂平成大修理記念 唐招提寺展 国宝 鑑真和上像と盧舎那仏を見た。やたらい人がいっぱいいて疲れた。音声ガイド(なぜかナレーションは寺尾聰だった)に大行列ができる展覧会は初めてだ。

ついでに踊るサテュロス も見た。歴史的価値はわかるが、正直いってこれで800円はちょっと高いと思った。

昼食抜きで疲れた。登山用語で「シャリバテ」というらしい。

今回の旅行は、私が前の前に勤めていた会社の先輩を誘い、さらに先輩が学生時代の友達を誘って三人で行動することにしたものだ。三人とも関西人で東京の博物館や美術館に行く機会が少ないので、とにかく集中的に見て見て見て回ることに専念することにしたのだが、シャリバテでダウンしてしまうとはもう若くない証拠だ。次の機会にはもう少し余裕のある日程を組むことにしよう。

最後に国立西洋美術館を訪れた。特別展が開催されていないので、常設展のみ。