1998年度 冬季特設課外授業 第1学年「原子炉実験・体験学習」
1998年12月22日(火)
近畿大学 原子力研究所 原子炉 UTR-KINKI(中性子ラジオグラフィ設備 等使用)
教養理学科4期生39名 引率教員3名

1.日 程
8:45〜 9:30 開会挨拶 原子力研究所長 柴田 俊一 京都大学名誉教授
保安教育 稲垣 昌代 先生
9:40〜10:30 原子炉(炉室・制御室)見学(3班に分かれて)
10:40〜11:40 講義「原子炉の原理」 大澤 孝明 教授
昼食および近畿大学原子炉工学科の説明と原子力工学の研究についての簡単な説明をはさんで、3班に分か れて体験実習(3テーマ・・・午前中1テーマ)
11:50〜13:50、14:20〜16:20、16:30〜17:30(13:50〜昼食、午後は1回トイレ休憩)
@ 原子炉の運転 A 中性子ラジオグラフィ B 放射線・放射能の測定(今年は放射線源との距離 と線量率との関係の測定は、担当教官が海外出張中のため中止、放射能の半減期の測定のみ)
17:40〜18:40 質疑・懇談・体験実習のまとめ
2.講義「原子炉のしくみと運転」 大澤 孝明 教授
・核分裂の発見
・原子核エネルギーの源 発生するエネルギー
・核分裂を効率よく起こすには?
中性子の減速と拡散 U-235の濃縮
・”原子炉村”の人口変化
臨界とは中性子の生成と消滅がつり合っていること
・中性子のライフサイクル
・遅発中性子の役割 原子炉の制御
・人類初の原子炉とオクロ天然原子炉
3.原子炉(炉室・制御室)見学 [丹羽 健夫 助教授・橋本 憲吾 講師・堀口 哲男 先生]
4.体験実習
@ 原子炉の運転 [橋本 憲吾 講師・渥美 寿雄 講師・堀口 哲男 先生]
4本の安全棒(制御棒)を操作して、原子炉を臨界状態にする。 臨界は、1W・0.1W・0.01W
@ 中性子ラジオグラフィ [丹羽 健夫 助教授・小川 喜弘 講師]
原子炉より出てくる中性子を利用して、透過写真を撮る。
・被写体をアルミ板の上に並べ、セロテープで固定する。(右)
・中性子を光に変換するプレートとフィルムの入ったカセットと
ともに引き出しに入れ、@の1Wで臨界に達している原子炉の
上にセットする。
・16分間中性子を当てたのち、現像をする。
・参考のために同じ被写体のX線写真も撮り、現像もおこなう。
・X線は重い元素は通過しにくいが、中性子は水のような軽い分子は中性子を比較的よく止めて しまうので、X線とは異なった映像が得られる。
被写体と中性子−光コン
バータープレートとフィ
ルムの入った引き出しを、
炉心の上にセット
比較のためX線写真も撮る
A 放射線・放射能の測定 [中井 洋太 教授・近藤 嘉秀 講師・稲垣 昌代 先生]
原子炉(@で1W臨界)中心付近に入れた、アルミニウム(1円玉)とヨウ素(ヨウ化カリKI)の放射能 の半減期の計測
・45分間原子炉中心付近で中性子を当てる。
・放射能をもったAlとIの放射能をGM計数装置で、1分ごとに1分間の放射能を測る。

・片対数グラフにプロットする。
・正味計数率はバックグラウンド値を引いた値とするが、臨界状態の変化により、BG値も変化するため 弱冠の誤差が出る。また、時間的な余裕も無く短い測定時間であったが、かなり近い値となっている
・計測値は3班のデータ では 半減期は、ヨウ素が29.5分、Alが2.47分
(実際の半減期はAlが2.24分、ヨウ素が25分、ナイロンは放射化されなかった)
5.質疑・懇談・体験実習のまとめ 柴田所長 他
生徒からの質問
・使用済み核燃料の再利用について
・万一のためにやっていることはどういうことか
・放射能の利用は
・日常生活で放射線の使われているところは
・核廃棄物の処理はどうすればよいか
・寿命のつきた原子力発電所の処理
・被爆したらどうなるのか その他

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