1997年度 第2学年「理科夏季特設課外授業−化学」

  1997年8月22日(金)  教養理学科 2年生40名(全員)参加・教員3名
  大阪府立大学 総合科学部「物質科学科」・総合情報センター



1.講 演  9:50〜10:50
  物質科学科 教授 山本 浩司 先生 「暮らしの中の右と左」(化学の立場から)
  別紙資料1枚・OHP使用・その他香料(リモネン・カルボン)
 ・左右のある物質の例
  魚(カレイとヒラメ)、花(つる植物:右巻き=ホップ・ノダフジ・カガイモ、左巻き:アサガオ・ヤマフ
  ジ・ヤマイモ、両巻き:ネジバナ(右巻きと左巻きが1:1))、貝(右巻きのみ)
 ・化学物質(鏡像異性体)
  身体の中では、区別される。片一方のみが役に立つ、もう片方は毒性のものも多い(味の素のグルタミン酸
  など)。ただし、乳酸のような、筋肉乳酸はL-(+)、発酵乳酸がD-(-)のものもある。 
  パスツールが発見(酒石酸で)
 ・アミノ酸はL型のみ
  タンパク質になると、右巻きの安定な二重らせん構造になる。
  もし、D型アミノ酸の人間がおったら、食物・医薬が違うので、人類は滅びる。
  たとえば、D-アスパラギン酸は、タンパク質の不溶化がおきて、アルツハイマーや、白内障を起こすこと
  が近年わかってきた。
 ・人間の感覚(視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚)のうち、化学物質に関係するのは、味覚と臭覚。
  これが右と左を区別する。
 ・まず臭覚では
  麝香(ジャ香)のにおいの「ムスコン」は、R-(-)が天然のいい匂い(右図)
 (たくさんは臭いが) しかし、合成したS-(+)は無臭
 ・リモネンとカルボンという香料の実物を持ってきて、実際に嗅がしてくれた。
  (ごく少量をろ紙につけて・・・大量は臭くてわかりにくいため)
  リモネン             

S(+)はオレンジ R(-)はペパーミント  の香り

  カルボン

S(+)はキャラウェ様  R(-)はスペアミント  の香り

 
 ・味覚では
  旨味のグルタミン酸(モノナトリウム塩は味の素)
  L-(+)が旨味を感じる        
 ・その他
  しいたけはL−トリコロミン酸、L−イボテン酸
      かつお節・煮干し・肉はL−イノシン酸
 ・夢の甘味といわれている、アスパルテームは、L-アスパラギン酸のCOOHと、L-フェニルアラニンの
  NHが縮合したもの
 ・薬もL(S)-ドーパは抗パーキンソン病の薬、D(R)はだめ
 ・サリドマイドも
  L-Nフタルグルタミン酸イミドは、副作用なし、習慣性なしの睡眠剤・・・妊婦に最適
  しかし、D−は、アザラシ肢症の原因物質(1%未満だが混合していた)
  ドイツで6000件、日本で985件
 ・今、厚生省は、完全に左手だけ(絶対100%)でないと許可しない。        以 上 講 義


2.実 習
 A班は化学実験 B班はコンピューター実習 11:00〜13:00(一部の実験は13:10)14:00〜16:00
(1) 化学実験 (3つのグループに別れて)
 ・電池の実験  (3・6班)     羽倉 倫敬 先生
   資料として 別紙B5が3枚+当日A4が2枚
 ・水のCOD測定(2・5班)     上田 龍雄 先生
   資料として 別紙B5が1枚
 
 ・アセトアニリドの合成(1・4班)  松原  浩 先生
   資料として 別紙B5が1枚・NMR測定
   収率良く合成できた。NMRでも不純物は少なかった。
 
(2) 計算機実習        北浦 和夫 先生・麻田 俊雄 先生 他
   資料として 別紙B5が2枚+当日別冊1部
  1. 計算化学の紹介
  2. NECのPC9821Xa13での「WINDOW NT」の使い方の説明
  3. 分子構造の描画・表示プログラムである、フリーソフトウェア
「Molda」の説明と、これを使っての分子構造の作成
  4. 力場計算プログラム「MM3」(エネルギー安定構造を求めるためのプログラム)で3.で作成した分子の
   分子構造を最適化する。安定な原子間距離や角度を見る。
  5. 再び「Molda」に読み込んで、作成した構造式のプリントアウトを行う。
  6. 作成した分子は、ベンゼン、シクロヘキサン、その他



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