コクジラ(コククジラ)

 角右衛門頼治は、ある日クモの巣にかかっ たセミの様子を見ていて、一つのアイデアが浮かびました。当時、捕鯨の対象となっていたセミクジラ・マッコウクジラ・カツオクジラ・コクジラが減少していましたが、突き取り捕鯨法では捕獲困難なザトウクジラだけが数多くありました。そこで角右衛門は麻の繊維でできた苧網(おあみ)を使い、鯨を拘束してから銛を打つという網取り捕鯨法を開発しました。延宝5年(1677年)のことでした。                      

この鯨網は、鯨が網にかかった時、部分部分の網を破れやすくして、網を岩に引っかけたりしても影響されず、鯨の行動を鈍くはするが、網によって鯨が身動きできずに窒息死となるようにはしませんでした。死ねば鯨は沈んでしまい、引き上げることが不可能となるからです。鯨の動きを鈍くしておいてから銛を打ち込み、鯨が弱り瀕死の状態となった時、刺し水主(さしかこ)という人が鯨の鼻にロープを付けて持双船(鯨を曳航する船)につなぎます。