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平成14年定例句会

12月定例句会 338回 02.12.27 山野 興仁会館

12月句会(338) 点数
伊奈寛雄 枯れ野中枯れ草色の兎撥ぬ 1
ダンプ過ぐ落葉の渦を引きつれて 3
注射する医師にもあるや流行風邪(はやりかぜ)
いのこづち我を待ちしかどっと着く 2
湯気越しに串皿を受く赤のれん 4
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
荊木和代 湯豆腐に晩酌進む老夫婦 1
密柑山冬の夕日を集めけり 1
寺々で佛のみぬぐい師走かな 1
金婚の歳も暮れ行く師走かな
紅葉に雪かぶりたり白山道
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
尾尻宏介 秋燈下寂聴の本に紅残る
夫(つま)作る杓子に余る煮大根 2
煮凝りや言葉少なき農夫婦 1
豊作の藁無造作に注連作る
茎菜漬け農は大口開けほじる
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
梶本マサエ はだれ霜払いて起こす小芋株 1
日向ぼこ過去を語りて老二人
寄植の正月近し鶴と亀
草じらみ人なっつこや集(たか)る肩
柊の人目に付かず香をこぼす 1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
坂口早苗 荒るる江へ山傾きて紅葉燃ゆ
用ずみの火鉢にめだか飼われおり 1
茶屋小春一匹の猫が留守守る
垣も無きせき磧の温泉(でゆ)や冬うらら
山茶花の白のまぶしき神の庭 1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
小路日照 夕映えの蓮池に立つ枯れはちす
鋭角に折れ枯蓮の水面刺す 5
りんりんと湯気一尺の寒茶釜 5
冬銀河チャルメラ流る裏通り 1
全身に氷の衣水掛け地蔵 2
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
西川静枝 秋日和天文台で兄姉会
ハゼの木も紅葉すれば人ざかり
毎日の良い日和にもぼんやりと
秋日和ひときわきれい紅葉や
朝夕の寒さ感じる年の瀬や
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
森  明里 左右にもみじ銀杏の旧家かな 1
野生化し寒気に負けじとキュウーイかな
猪の沼田場と化した休耕田
草虱夢語り来し畠跡 1
放置園頭の上まで草虱
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
森  育子 大根引き土の湿りを確かめて
旅日記ぽっかりと空く師走月 2
年の瀬や顔強ばらせ旧家守る 2
山の物海人に分け蜜柑取り
破れたる障子にぺたり大花輪
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
森美起夫 冬ざれやしぶきを止めし那智の瀧
草野球一時中断初時雨
短日の山くろぐろと動かざる 1
居ずまひを正して裏の山眠る 1
寒月を車窓に嵌めて旅に発つ 3
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
山田美幸 いもの香も混る鎮守の落葉焚 4
枇杷の花よりそい合いて暖かし 1
流行のロングマフラー古き恋 1
縄跳びの土打つ音のリズミカル
初雪の白馬颪(しらまおろし)やまっ直ぐに 2



11月定例句会 337回 02.11.27 山野 興仁会館



点数 11月句会(337) 作者
1 小春日や銃声一発杣に波 荊木和代
1 鬼の頭引き抜くごとく蒟蒻堀る 山田美幸
主のなき菜園大根育ちおり 森  明里
立冬や居間の建て付け良き襖 尾尻宏介
みちのくの秋は黄の彩谷深し 森  育子
賑やかに試食の柚や山の里 梶本マサエ
3 あやしては子と語り合う小六月 小路日照
捕らえればアサキマザラにマーキング 伊奈寛雄
1 登山靴すっぽり乗りし朴落葉 山田美幸
1 山裾に夕日にじみて初時雨 森美起夫
ロックの音ロビーに流れて秋深し 荊木和代
大夕日紅葉の照り相対す 西川静枝
1 切手舐め外を見やれば時雨かな 森美起夫
4 新妻のたくあんかむ音朝すがし 森  明里
2 露天風呂に両手伸ばせば星月夜 坂口早苗
竹杖に鈴なき不安秋時雨 森  育子
3 籾干しのサラリ音聞く昼下がり 梶本マサエ
5 秋蝶の伽藍に飛びて日を反す 小路日照
2 新涼や嬰の寝息を確める 坂口早苗
1 葉を散らしつつ細りゆく冬木立 森美起夫
4 ボサノバに老いも首振る冬の宵 森  育子
漁場競う舟一斉に秋の浦 伊奈寛雄
目の前は日に紅葉の向い山 西川静枝
九回の逆転ならず秋に果つ 森  明里
3 青き湾ふところに抱く枯れ岬 小路日照
一人家に浜木綿の實の落ちていし 尾尻宏介
1 冬空へ高野三山のくさびかな 山田美幸
鮨桶を洗い妹にと尾花道 梶本マサエ
錦秋に美山太鼓の音響く 伊奈寛雄
1 デモの列長き影もて加わりぬ 尾尻宏介
1 さりげなく名もなき山も粧ひし 坂口早苗
1 小春日やエレキに火が付く体育館 森  育子
ゴンドラで登る峡谷紅葉映え 荊木和代
秋の山人ひきつける櫨の木や 西川静枝
1 寄せ書きのボールものりて菊の壇 森  明里
1 しっとりと字(あざ)鎮もらす初時雨 小路日照
1 思案して縁側でれば良夜かな 荊木和代
1 落ち葉焚く煙にむせて修行僧 森美起夫
北窓の身に刺さり来る雪の雨 梶本マサエ
1 天高く空に競いし幟差し 伊奈寛雄
2 シュプレヒコールビル間に冬の隠れ居る 尾尻宏介
1 新酒の香栞に残る陸奥みやげ 坂口早苗
1 高野道下れば待ちし柿売女 山田美幸
火力発電煙突の上鳥渡る 尾尻宏介
1 風が舞ひ落葉が舞ひて犬駈ける 森美起夫
友と共若者広場茶の味が 西川静枝
3 福耳の孫にチョンノリ冬帽子 森  育子
3 秋霖に航跡太き船戻る 伊奈寛雄
1 坪庭の実物色づき小鳥来る 山田美幸
1 櫓田(ひつじだ)やゴルフの素振り土撥ねて 小路日照
峡の里割れんばかりの祭太鼓 坂口早苗
パチパチと吾ここにと豆はじけ 梶本マサエ
辻地蔵野菊一輪そっと置く 荊木和代
中学のえい唱会に夢うつつ 西川静枝
1 初雹の叩きに叩くトタン屋根 森  明里



10月定例句会 336回 02.10.27 山野 興仁会館


点数 10月句会(336)
2 強面(こわもて)の案山子畑に移つさるる 伊奈寛雄
秋桜の皆前かがみ昨夜(よべ)の風 伊奈寛雄
気がつけばアサギマザラの踊る中 伊奈寛雄
句を極め紅葉の朝に功受くる 伊奈寛雄
3 栄受けん妻に一言秋の朝 伊奈寛雄
1 秋まつり孫菓子くれる歳となり 荊木和代
たおやかにコスモス影を撒き散らし 荊木和代
秋祭り青い目の娘(こ)はカメラ向け 荊木和代
3 熱燗のそろそろ恋し夕餉の膳 荊木和代
1 路地裏に木犀散りて月円(まどか) 荊木和代
1 師の受賞またも見上ぐる後の月 尾尻宏介
秋祭り群衆はずれば空虚あり 尾尻宏介
1 絹雲の一筋流る真妻山 尾尻宏介
2 花野行く目つぶれば亡き子と歩む 尾尻宏介
四十路過ぎの通夜には強き木犀香 尾尻宏介
1 秋祭り友も来て居り遠会釈 梶本マサエ
1 親雀小雀踊る秋祭り 梶本マサエ
皆杜(もり)へ一人ビールの秋祭り 梶本マサエ
1 芋の露結びてころろ落とし消ゆ 梶本マサエ
1 秋茄子の大きくゆらり取り忘れ 梶本マサエ
2 食べ初め秋鯛のはねる化粧塩 坂口早苗
いつの日か虫の音消えて十三夜 坂口早苗
咲き終る今日の芙蓉に秋の蝶 坂口早苗
秋風に日の丸ゆらぐ板庇 坂口早苗
3 回すごと背の子よろこぶ秋日傘 坂口早苗
2 ひつじ田に切り藁敷きて土隠す 小路日照
2 ほくほくと零余子(むかご)の匂う五目飯 小路日照
3 大門と向き合う秋の大落暉 小路日照
1 紅葉散る一葉ひとはと名刹寺 小路日照
1 妻誘い落暉の花野探索す 小路日照
地平線秋の夕暮れ手を合す 西川静枝
1 秋日和車によって死にはぐれ 西川静枝
彼岸花花びら散って天ながむ 西川静枝
大風の進行ばかりテレビ視て 西川静枝
巣立ち行く孫とおくりし残暑かな 西川静枝
3 天高く晴れての受賞師の笑顔 森  明里
朝露を踏んでおす犬帰るらし 森  明里
1 鵙日和身内の重病聞きし午後 森  明里
山裾におおいかぶさる霧の群 森  明里
2 いもの葉にころころ露の一遊び 森  明里
1 憎き鳥今年の柿を食いちぎる 森  育子
1 宵宮に早やバテ気味の若い衆 森  育子
2 目が合ひし若衆一礼祭獅子 森  育子
五片の鯖鮓を手に秋の旅 森  育子
二次林の森ゆるやかにブナ黄葉 森  育子
1 籾を干す農婦の背(せな)に雀鳴く 森美起夫
2 大筆に墨たっぷりと秋の宵 森美起夫
2 七夕や短冊に見るドラえもん 森美起夫
皿に盛る浅漬ありて今朝の秋 森美起夫
2 天空の一角を裂き流れ星 森美起夫
1 萱原に銀のさざ波県境 山田美幸
1 りんどうの穂先で塗りし今日の空 山田美幸
1 雷鳥の半分冬毛で現れし 山田美幸
恋の詩思い出したる秋の暮れ 山田美幸
稲架中のかくれんぼかな幼き日 山田美幸



9月定例句会 335回 02.9.27 山野 興仁会館


得点 9月句会(335)
黙祷す球場一とき静戻る 伊奈寛雄
水位痕(すいいあと)はるか上にてダム昼寝 伊奈寛雄
1 涼包む大斎原の大鳥居 伊奈寛雄
2 一人座しぐい飲みで待つ今日の月 伊奈寛雄
1 名月や偲び起せし良き人を 伊奈寛雄
1 句の思案歳時記開けて虫の声 荊木和代
1 野良帰り薄(すすき)老婆におじぎする 荊木和代
金婚や秋風にふと振返る 荊木和代
忍び寄る老いは深まり秋の風 荊木和代
拉致人の訃報ニュースに残暑かな 荊木和代
台風進路予想はずれて缶ビール 尾尻宏介
1 秋終わり農婦等の旅姦しき 尾尻宏介
1 清姫が追いたる道の曼珠沙華 尾尻宏介
1 生娘の指先妖(あや)し風の盆 尾尻宏介
生娘を風にささげて風の盆 尾尻宏介
2 鳴き競う虫の音聞けば星一つ 梶本マサエ
3 一匹の小さな蟻に脱がされて 梶本マサエ
根虫取る残暑きつしや地べた這ひ 梶本マサエ
三姉妹お喋り止まず盆休み 梶本マサエ
秋あかね数十匹の運動会 梶本マサエ
2 茶を点てし席に夫なき虫の夜 坂口早苗
二十日盆すぎて疲れは納まりし 坂口早苗
1 月光に透きて薄雲過ぎゆけり 坂口早苗
1 彼の世にも今日のこの月照らすかな 坂口早苗
うねりつつ粧ひそめし白根山 坂口早苗
4 稔田の力抜くごと水落とす 小路日照
5 杉木立漏れる秋日(しゅうひ)の五輪塔 小路日照
青の増大塔の上帰燕(きえん)舞ふ 小路日照
捨て子猫月光の中戯れる 小路日照
花火果つ静かに流る花火雲 小路日照
年一度会える友達敬老会 西川静枝
妹と姉の姿を青葉中 西川静枝
画面視て一人よろこぶ秋場所 西川静枝
1 運動会入らない玉放り上げて 西川静枝
妹と二人で入るきさくの湯 西川静枝
十日ほど見ぬまにたれる稲穂かな 森  明里
目のくぼみ目立ち夏ばて兄の顔 森  明里
彼岸花峡の畦道錦なす 森  明里
1 風向きにのりて遊々秋あかね 森  明里
2 年重ね無学のままに敬老日 森  明里
4 大根蒔き仕立上げたる高き畝 森  育子
さりげなくうしろについて大根蒔く 森  育子
3 朝涼や寝覚めの猫の生欠伸 森  育子
残暑まだききずりそうな昼下り 森  育子
老いる程枷まつわりて秋暑し 森  育子
仲間無きままに鳴き居る法師蝉 森美起夫
3 睨みたる一ツ目小僧鳥おどし 森美起夫
1 山々の粧ひそめし過疎の村 森美起夫
1 さざ波のごとくに群れて鳥渡る 森美起夫
4 てにをはを選びあぐねて夜長かな 森美起夫
2 分かれ道誘い(いざない)来る萩の風 山田美幸
3 藁屋根に残暑吸われし旧街道 山田美幸
2 豊の秋父の遺せし物ばかり 山田美幸
横綱の意地をかけたる九月場所 山田美幸
1 月天心拉致され行きし異国にも 山田美幸



8月定例句会 334回 02.8.27 山野 興仁会館

点数 8月句会(334)
2 籐筵寝起きの孫の頬に書く 伊奈寛雄
1 ロッキングチェアー静まり孫寝入る 伊奈寛雄
孫の手にこわごわ乗せる兜虫 伊奈寛雄
盆帰省まずは眺める山と川 伊奈寛雄
せせらぎを足下にソーメン箸進む 伊奈寛雄
カナカナの声に長湯の露天風呂 荊木和代
西瓜舟スーパー入り口並べられ 荊木和代
1 夕焼けも消えて迎え火点しけり 荊木和代
2 過疎の村精霊送る老夫婦 荊木和代
精進の料理多忙や盆行事 荊木和代
3 尺四方照らす送り火一人焚く 尾尻宏介
峡に生き逝きて読経とクツワムシ 尾尻宏介
通夜読経マイクに虫の音かき消され 尾尻宏介
2 農のまま逝きし老婆の灼けし手よ 尾尻宏介
婆が焚く迎え火囲む孫五人 尾尻宏介
参道を行けば降り来る蝉時雨 梶本マサエ
4 炎昼に仁王も踏ばり苦い顔 梶本マサエ
1 初盆や義弟の浄土旅(たび)はただ一人 梶本マサエ
外孫もみんな揃いて大西瓜 梶本マサエ
桃ほしき提げて重たし粉河寺 梶本マサエ
梅雨明けや月光峰の雲に映え 坂口早苗
3 窓を這ふ百足虫や足の裏見せて 坂口早苗
汗染みの紋付き掛ける衣桁かな 坂口早苗
七月の予定皆なし産養い 坂口早苗
1 乾杯を麦茶で合わす下戸女 坂口早苗
3 俗人に霧の高野の鐘ひびく 小路日照
1 カナカナの声鳴き交わす山の寺 小路日照
3 地ビールの糀(こうじ)かすかに加賀の旅 小路日照
5 岩焼ける洞(ほら)に地蔵の細き眉 小路日照
2 運ばれる度に涼しき京料理 小路日照
花の後青葉のしげる道通る 西川静枝
盆もすぎ暑かったことうすれゆく 西川静枝
暑くとも何時も話は平然と 西川静枝
1 孫連れてにぎやかに行く墓参り 西川静枝
1 精霊に一年中の話する 西川静枝
蜩にせかされししとう摘み残し 森  明里
一まわり小さくなりて夏のとも 森  明里
2 食いしばる歯もなくこたえる夏草刈り 森  明里
行く夏の名残か束の間朝の虹 森  明里
初盆や亡兄の孫大はしゃぎ 森  明里
2 旧家守る休む余地なき盆用意 森  育子
孫等来て夜具敷き詰めし夏座敷 森  育子
終演をショパンでくくる夏の星 森  育子
3 夏帽子捨てて男の子の意地とほす 森  育子
朝ドラの佳境に入りて水中花 森  育子
2 秋暑し流木浜に朽ちしまま 森美起夫
2 秋立つや湖(うみ)に映りし雲の貌(かお) 森美起夫
1 峰雲の入り日つつみてかがやけり 森美起夫
2 盆踊り誘ふ太鼓の音近く 森美起夫
1 踊る輪に入ればまぶしき素足かな 森美起夫
虫干や箪笥で眠るだけの物 山田美幸
秋草の籠いっぱいに妻籠宿 山田美幸
2 秋水の澄みて流れし句碑の脇 山田美幸
疲れ来て蕎麦湯をすする木曾の街道(みち) 山田美幸
如何ともできぬ意の有りゴーヤかな 山田美幸



7月定例句会 333回 02.7.27 山野 興仁会館

点数
伊奈寛雄 自堕落(じだらく)に日影選びて夏の猫
伊奈寛雄 1 エアコンの風に風鈴1つ鳴る
伊奈寛雄 3 僧読経一際高く玉の汗
伊奈寛雄 銀蝿の一匹食事定まらず
伊奈寛雄 西瓜喰う眼ではおどせぬあらいぐま
荊木和代 1 届けられ天然あゆは夕餉の膳
荊木和代 4 風鈴の音もピタリと大暑かな
荊木和代 軒の巣に飛沫(しぶき)吹き込む夏燕
荊木和代 2 宅配の届く玄関メロンの香
荊木和代 老僧は伽藍の縁で昼寝する
尾尻宏介 4 開け放つ座敷に蚊取り香揺らぐ
尾尻宏介 2 汗の顔腹の中まで良き隣人
尾尻宏介 1 浴衣のまま眠る娘の伸びし足
尾尻宏介 梅雨の底今日もDM入らざり
尾尻宏介 植木鉢1つ倒して嵐過ぐ
梶本マサエ 2 大祓い青葉の深き杜の中
梶本マサエ 街中を抜けて立里へ雲の峰
梶本マサエ 1 畑打ちて屈み歩きや青嵐
梶本マサエ 1 天牛虫(カミキリ)の絣の着物広げ飛ぶ
梶本マサエ 3 思案しつどの葉に乗ろうかたつむり
坂口早苗 ともしびが植田に揺れる夕間暮
坂口早苗 2 巣つばめのおしゃべりやめぬ駄菓子店
坂口早苗 2 弔いの鐘の音浸みる梅雨の空
坂口早苗 村雨に新緑映ゆるゴルフ場
坂口早苗 縁側に松の下風涼添える
小路日照 3 清流の音も飲み込む心太
小路日照 1 萎びたる花鉢隅に朝顔市
小路日照 1 さざ波を打ち寄せるごと青田風
小路日照 原爆の死者名守る曝書かな
小路日照 山塊の農家の灯より月涼し
西川静枝 梅雨時ももちまき中は雨降らず
西川静枝 立里さん一年中の無事祈る
西川静枝 四時半に梅雨空ながめ仕度する
西川静枝 梅雨空の立里参りの天気良さ
西川静枝 打ち上げて点を入れない日高高
森  明里 2 だんご虫ころりころげて雨やまず
森  明里 1 せせらぎに和して老鶯あきもせず
森  明里 1 むかでの子あわてにげこむ戸のすきま
森  明里 2 もぎたてのトマト朝露はじきけり
森  明里 1 梅雨ぐもり献体の碑の碑文よむ
森  育子 1 夏濤(なつなみ)の嵐にのりて岩に散る
森  育子 白南風が吹き湯の町に雀鳴く
森  育子 2 木葉木菟鳴くよこの木に嫁してより
森  育子 1 陸奥に泥湯のありて夏の宿
森美起夫 氷菓舐め児らのおしゃべり一休み
森美起夫 万緑や力を増せる水の音
森美起夫 緑蔭を出てとりかかる野良仕事
森美起夫 3 少女等の胸高くして海開き
森美起夫 畝つくる農婦の髪に若葉風
山田美幸 1 青田中ニコニコ走るパンダ列車
山田美幸 1 膝裏の汗ぬぐいたるなが話
山田美幸 山寺へ登れのぼれと夏木立
山田美幸 1 蝉しぐれ蝉の世界へ迷い込む
山田美幸 1 さくらんぼ紅き滴を摘み採りし





6月定例句会 332回 02.6.27 山野 興仁会館

点数
伊奈寛雄 1 幾十の若芽立たせて梅熟るる
伊奈寛雄 1 支えなき天に向かいし揚雲雀
伊奈寛雄 1 鐘供養総身(そらみ)に汗の蛇が昇る
伊奈寛雄 1 ホオジロの巣を逃げてあり草刈機
伊奈寛雄 祭り閉じようよう螢飛び交いぬ
荊木和代 露天湯で萬緑仰ぐ昼下がり
荊木和代 鶯の声流れゆく梅畠
荊木和代 2 父の日に送られてくる銘酒かな
荊木和代 朝食に濡れ手でトマト並べけり
荊木和代 梅雨晴や野良着一斉万国旗
尾尻宏介 梅雨空を切り裂く如くリニアカー
尾尻宏介 2 初恋の家の紫陽花今も咲く
尾尻宏介 1 法要の家の子燕チチと鳴く
尾尻宏介 2 本山僧梅雨の湿りに鐘を突く
尾尻宏介 暮れ迫る滝に佇む二人連れ
梶本マサエ 1 植田みな夕日に映えて水きらら
梶本マサエ 飛び初め五羽の子燕恙がなく
梶本マサエ 漆黒の闇よりふわり螢来る
梶本マサエ 道問はれ三ツ辻右に新樹光
梶本マサエ 老来の夏至近づけば日暮れ待つ
坂口早苗 1 青葉風地蔵の口も微笑みぬ
坂口早苗 2 巣立ちたる子の初着にも風入れる
坂口早苗 若葉影ゆらめく縁にむつき縫ふ
坂口早苗 1 水鏡孵化せし揚羽写しけり
坂口早苗 甘茶呑む男の児女の児のおちょぼ口
小路日照 1 不揃いの棚田青々早苗満つ
小路日照 日傘差しなお日陰えらぶ歩みかな
小路日照 2 茄子漬けに一椀多くすすみたり
小路日照 4 雨一過燃えるカンナの緋の澄める
小路日照 1 緑陰の葉陰ちらつくノースリーブ
西川静枝 むつみ会年始総会無事終る
西川静枝 夕方の息子(こ)よりの電話待ちわびる
西川静枝 毎日の良き日和にも何もせず
西川静枝 道端の子供に日傘笑われる
西川静枝 1 日のよけにサングラスかけ下むきて
森  明里 2 草刈りや亡夫の名残そこここに
森  明里 1 老夫婦肩ふれあいつつ小田田植え
森  明里 青びわを食い散らかしてサル軍団
森  明里 梅雨晴間老犬の死をいたむ女(ひと)
森  明里 3 過疎の村こよい主役の螢たち
森  育子 1 友の句のきらりと光り薄暑かな
森  育子 3 弓なりに伸びきる猫や梅雨晴間
森  育子 1 梅雨滂沱老婆のお供するはめに
森  育子 夜更けて銀のすじ引く蛞蝓(なめくじら)
森  育子 大百足七転八倒の大ドラマ
森美起夫 笹舟となり流れ去る竹落葉
森美起夫 2 愛蔵の急須を出して新茶くむ
森美起夫 病葉(わくらば)をこやしにせむと穴を掘る
森美起夫 1 洗濯を干しきれざりし梅雨晴間
森美起夫 1 旧道に草かき分けて清水汲む
山田美幸 5 結納の口上清(すが)し五月晴
山田美幸 梅洗う老婆は腰を軋ませて
山田美幸 万緑や笠を被りて露天風呂
山田美幸 3 古郷は肩に重たし梅雨の底
山田美幸 呉服屋の窓(ウインドウ)も軽き衣更




5月定例句会 331回 02.6.27 山野 興仁会館


点数
伊奈寛雄 2 子や孫の雛飾り終え日暮るる
花筵去年も見かけし顔と逢ふ
春嵐戸板囲いに牡丹あり
幾度も促されつつ通り抜け
やわらかに新緑の香やおぼろ月
荊木和代 1 老人の歌う軍歌や朧月
1 連山に新緑萌える奥熊野
鯉幟峡をせましと泳ぎけり
鶯の囀りこぼる豌豆畑
3 老農夫メール送って五月晴
尾尻宏介 2 掌(てのひら)の螢が照らす生命線
1 蛍追ふ子供の頃が闇にあり
3 手にしびれ残し草刈機を止める
2 誤解とけ川幅いっぱい初夏の風
たたまれる昼間は風を喰いし鯉
梶本マサエ 2 薫りつつ蜜柑の花のこぼれおち
2 鯉幟立ちては泳ぎ風のまま
咲き揃い色に迷いつ供華を切る
初夏厨母娘の声のこんなもの
2 腰曲り農婦なりしよ種を蒔く
坂口早苗 山笑ふ鍬を持つ手も三拍子
雪やなぎ風のかたちに枝垂れをり
1 早春の景とびはねる車窓かな
2 綾取に似た橋渡り春の旅
1 囀りに児のスキップ弾みをり
小路日照 2 鶯の声澄み渡る父祖の寺
堂内は読経濡れ縁緑さす
蛇とカラス争える田の乾きいて
2 窯出してまず一服の夏の朝
2 花蜜柑弧なす麓は匂ひ凝る
西川静枝 渡月橋初夏の岸辺の人さかり
孫ととも京都見物初夏の旅
つゆ雨の中にきこえる妹の声
嵐山すず虫寺の虫の声
つゆ雨に葬式出る間は雨小雨
森  明里 1 新緑を背に嫁ぐ娘の笑顔かな
2 鯉のぼり駒止橋を一跨ぎ
1 雨蛙ねぼけ眼で木にすがる
もそもそとうごめく山裾椎の花
病いえ隣人帰る竹の秋
森  育子 1 戒名の薄れる墓守夏に入る
2 喪の家に机ポツンと五月雨
3 巨神戦釘付けとなる夏の宵
パンの絵の車止りて山笑う
高女卒八十路かくしゃく五月会
森美起夫 3 新樹抜け来たりし風に髪ゆれる
2 荒れ果てし田にも今年の草茂る
児の帽子吹き飛ばしけり青嵐
3 法螺貝のひびける山の滝祭
1 筍や裏山けぶる小糠雨
山田美幸 青鷺やいつもの餌場直行便
野茨の刺硬くなり夏来たる
薫風や蜜切る夫の手元より
指細き女鵜匠の鵜飼かな
春蝉や「考える人」静かなり



4月定例句会 330回 02.4.27 山野 興仁会館

点数
坂口早苗 3 初つばめ老の聞きたき旅話
1 葉を切られ茎立ち大根畑で生く
2 山の神宿り木に花付け忘れ
1 夕朧金色矢となる飛行雲
リボンかけ埋るこの井戸黄砂の里へ
小路日照 花吹雪蝶も紛れし日ノ御碕
口中に竹林広がる筍飯
3 草引きや肘張って向く初蛙
2 天界へ白木蓮の大樹立つ
1 死してなお岩魚の肌の紋の色
尾尻宏介 ゆっくりとまぁーるい春の月が出た
水温む臥せたる友の目の光り
2 春雨や波静かなる弧なす浜
1 一人分の菜っぱ引きたり竹の秋
2 人気なき入り江の集落浜大根
梶本マサエ 花の空枝々仰ぐ一樹あり
2 摘草や拳を固め立つわらび
1 種袋揺り鳴らして友二人
2 卒業日袴姿の巣立つ孫
2 葱坊主つんつん立ちて天をつく
伊奈寛雄 探梅の道に潜みし地蔵尊
2 シャラシャラと五体投地(ひじつき)僧の紙衣
4 大松明(たいまつ)の火勢反ねおり古大扉
1 小観音ぬくもり受くや籠衆
1 木々萌えて山もこもこと湧き立ちぬ
荊木和代 1 今年こそ納めて来よう明治雛
1 石楠花に包み込まれし観音堂
春雨にゆれる白藤棚重し
2 親金婚子は銀婚の春迎へ
葉櫻や露天風呂をも覆いけり
西川静枝 満開の桜の下で老祝す
花ちって後に青葉があをあをと
1 花の蜜吸うてふてふの踊りいる
毎日の通る道端桜散る
1 桜散り足の踏み場をなくしてる
森  明里 1 戯れにすみれとすみれの草相撲
1 首(こうべ)たる遺影の前の牡丹かな
1 木瓜の紅映えれど生家は古びたり
花びらのうずまく坂道下校の子
日暮谷淡くうき立つ射干(しゃが)のむれ
森  育子 春嵐お隣に在る空バケツ
春昼や孫は本読みねだりいる
3 古兜飾りて待たる孫二人
2 桜果つ吉野の谷の静けさよ
露天湯に屈み花の湯掬いたり
森美起夫 薫風やたてがみ乱し仔馬駈け
若竹や吾子を育てし頃おもふ
1 更衣紅をやさしくひきなほし
1 雨粒の緑したたる山若葉
灯台の白さまぶしき梅雨晴間
山田美幸 巣別れの蜂の大玉おさめけり
3 摺鉢のひだも緑に山椒の芽
わが齢と同じ雛を飾りけり
一枝に残り花して暮の春
1 新聞の随想にぎわす西行忌


        

3月定例句会 329回 02.3.27 山野 興仁会館

名  前 点数
伊奈寛雄 雪屋根を浮き出(いで)したる薄月夜
伊奈寛雄 透きとおる明るさもてり寒の月
伊奈寛雄 喚声と火の粉が走る二月堂
伊奈寛雄 千年をタイムスリップ水取会
伊奈寛雄 お香水求む手と手や太格子
荊木和代 1 どっかりと春夕暮れの東大寺
荊木和代 投地する修二会の僧に手を合わす
荊木和代 2 火の乱舞廻廊渡り冴え返る
荊木和代 1 院の庭椿と天女に迎へられ
荊木和代 春海辺ひねもす走る九十九里
尾尻宏介 1 春寒し飲み過ぎ止(と)める人もなし
尾尻宏介 3 二月堂下駄音冷えを蹴散らかす
尾尻宏介 お松明後ろの暗がり修二会僧
尾尻宏介 1 松明に大き庇の二月堂
尾尻宏介 3 寒時計亡き息子(こ)の部屋の時刻む
梶本マサエ 2 修二会の五体投地に息を呑む
梶本マサエ 頬被り(ほっかぶり)大歓声の火の粉雨
梶本マサエ 修二会の高きひびきや靴の音
梶本マサエ 1 母の居て童の頃の夢朧
梶本マサエ 下萌て旋律の音定まらず
坂口早苗 梅枝剪る農夫の手から香がこぼる
坂口早苗 1 一言の温かさ浸む昼の膳
坂口早苗 1 胎動を手で確かめて娘の春
坂口早苗 1 万人の歓声宙舞う大松明
坂口早苗 1 絶え間なく練行の経冴え返る
小路日照 2 思わざるところより立つ野焼きの火
小路日照 漁港出づ漁船も霞む海に消ゆ
小路日照 遠山の霞みに溶ける遠遍路
小路日照 雛壇に今風の雛飾られし
小路日照 2 ぐんぐんと育つ嬰児(みどりご)牡丹の芽
西川静枝 修二会の二月堂での花火見る
西川静枝 姉娘きさくのお湯で暖まる
西川静枝 藤白神社に集い春の会
西川静枝 初午の餅ひろいに行く妙見坂
西川静枝 ねまにいゐて北海道の雪景色
森  明里 かえかえし息子(こ)の表札や初つばめ
森  明里 水取やも一度信じよう世の中を
森  明里 2 囀りに恥じいりつつの朝寝かな
森  明里 1 茎立ちや老女は腰を曲しまま
森  明里 1 水温み合鴨下る山野川
森  育子 1 水取や五体投地の身の構え
森  育子 2 小観音出御の古都の朧かな
森  育子 お松明案内(あない)の童子気を抜けず
森  育子 1 処世界に只一本のお松明
森  育子 2 水取や声明緩急堂に満つ
森美起夫 3 春雷に和し居るごとく犬の吠え
森美起夫 山崩れあとの土留めに緑さす
森美起夫 3 春愁や海に入日のにじみたり
森美起夫 1 機関車の吐く息あらく寒戻り
森美起夫 露天風呂溢るる夕べ鳥帰る
山田美幸 ふくふくと頂上白し花の山
山田美幸 芽起しの雨とぞきくや春の庭
山田美幸 南面のワンスポットに濃い菫
山田美幸 春暁に手を合わせたる遍路かな
山田美幸 華やぎて卒業の娘ら談笑す

2月定例句会 328回 02.2.27 山野 興仁会館
名  前 点数
伊奈寛雄 2 背伸びして陽だまり猫の大欠伸
2 上棟の槌音乗せし寒の風
蟹料理ざわめきあれど皆無口
山畑の青く変りてみかん終ゆ
川のぼる軍艦ににて寒の鯉
荊木和代 1 障子開け確かな声で鬼は外
2 自販機に背伸びする子や小雪舞う
2 駄菓子屋に子等集い来る冬休み
ハイキング白髪隠しに冬帽子
1 野良猫も餌を食み終えて日向ぼこ
尾尻宏介 2 節分や夫の匂いの布団干す
2 雑炊のぬくもり犬に分けてやる
春北風(はるならい)浜に佇む娘あり
2 春寒や田圃隔てて道問へり
2 訪ね来る人今日も無し二月尽
梶本マサエ 句会終凍てつく空よ帰途につく
寒水を呑みて明日は春水に
三声なり鬼を抜いて福は内
蝋梅の香り畑打つ今日もくれ
1 寒雀つくつく太り肩寄せて
坂口早苗 小春日やまだ見ぬ旅路昂らせ
1 逝き母の形見の着物暖かき
夫の忌や招客の声梅さむし
背を押され戸惑いつつの初入門
1 心決め句会入門日記買う
小路日照 1 冬将軍猫と戯むる余生かな
2 大野火の火の舌迫る土手地蔵
冬木霊父の名山へ杣姉妹
春空に民話聞き入る牟呂のお湯
1 王子(みこ)の秘話熊野古道は春隣
西川静枝 向い山白い花咲く梅の香よ
白浜で一日遊ぶ湯の香きき
着物かりかやしに行くや朝の霜
1 ひい孫のばいばいする手しもやけに
とれとれの魚ながめてサシミかう
森  明里 親心せめての持て成し茶碗むし
早春の土ふわふわと我を待つ
1 物想い我が梅畑の花の下
梅小枝仏花にそえて一周忌
1 国会も狂牛病も寒嵐
森 育子 5 手火鉢に火種を足して姑の忌
1 屏風絵を肴に熱燗姑の忌
早春の校内放送澄みわたる
日脚伸ぶ隣家の犬と目を合わす
1 冬の旅果ててまたねと共の去る
森美起夫 1 少しづつ減りし仏間のひなあられ
1 春の雨受けて目覚めし花畑 
2 家を出て首すくめたる余寒かな
1 橋の上風の流れて水温む
麦踏みの両手を隠すところなし
山田美幸 2 農業祭横綱のごと朱欒(ざぼん)在り
1 妻一人豆まく声の小さなる
2 早春の岬に明るき一漁村
春浅し庭師ばかりよ養翠園
汐入(しおいり)の池の面裂く寒の鯔(いな)


1月定例句会 327回 02.1.25 山野 興仁会館
名  前 点数
荊木和代 元朝や昔ながらに神祀る
大晦日あの家此家も煮〆の香
1 婚暦は山積みにして古希の春
喜寿祝う夫の笑顔や残り菊
2 福分けの日差しを受けて初詣で
梶本マサエ 初春や穏やかなりし子や孫に
ゆりかもめ群なす遊ぶ初詣
初春や母の年越ふ二十年
2 涸滝の水細々と岩にしむ
1 凛と咲き晦の墓地の返り花
西川静枝 何の句も出ないながらに指を折る
遠足に1時間前目をさまし
電話うけ十八日は忘れてた
寒い時期ぬくい日和にめぐまれて
良い日和皆なの顔が笑い顔
森  育子 初旅やエーゲの海とふ地は眠る
閑谷の板窓渋き淑気かな
4 友二人貸切りとなる冬の旅
1 長者村雨後の甍の紅冴えて
3 祝箸袋に納め恙なし
小路日照 5 数の子の神授の黄喰音清し
3 鬨(とき)の声上げて飛び込む初泳ぎ
青空やすっきりと立つ冬木立
2 冬ざれの川に魚紋の閃きぬ
2 福笹や頭上ころがる巫女の鈴
尾尻宏介 1 新しき軍手をはめて農始め
お降りに汚れしクツで師を訪ぬ
2 日本海荒れて棚田に雪被る
1 枯野星我が家に犬の待って居し
仏飯を冷たき部屋に置いて来る
森美起夫 3 初風呂を出て今日だけの一張羅
1 初酒を父の遺影に供へけり
3 許されて猪口一杯の年酒受く
2 友未だ異国に住みて初便り
無事帰国関空よりの初電話
森  明里 義士道に心射抜かれ初参り
2 七草粥一色探して神の庭
1 かるた会負けて嘯く(うそぶく)年のせい
師走風邪我にしつこくつきまとい
全身の羽毛さか立て寒雀
山田美幸 1 ありし日の父を語りて薬喰
3 水凍り神も凍るや那智の滝
1 探梅や見えざりしもの嗅覚に
寒雀まるまる太って見えしこと
蕗の薹ひとつ食して続かざり
伊奈寛雄 1 新年の餅供えおり辻地蔵
どんど餅残りて老いでいただきぬ
年毎に輪が縮まりしどんどかな
1 木守柿今にも落ちん姿して
1 落ち鮎をねらう青鷺ピンと立ち

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川辺俳句
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