United Kingdom



紳士の国、大英帝国であります。
紳士とは質の良いユーモアを解さなければならないとの事ですが、実はこういう輩に限ってこっそり家で大衆紙の下ネタ小話で喜んでたりする。未確認ですが。
でも、きっとそうです。








第2次世界大戦のとき、有名なノルマンジー上陸作戦のため、アメリカの司令官がイギリスのチャーチル首相に会いにきた。
彼はちょうど入浴中でしたが、緊急を要する司令官が来たというのでバスタオルを腰に巻いたまま現れた。
その時、はずみでバスタオルがひらりと床のうえに。
しかし、チャーチルは動ずることなく、
「我が、イギリスはアメリカに対して一切、隠し事をいたしません。」
  
Nakasan's Bar

さすがのチャーチル先生であります。
でも、以上の場合は隠しといてもらった方がありがたいのですが。



だが、どう考えても、この旅にわたしが出かけてはいけない理由は見あたらない。
  カズオ イシグロ

(前略)だが、人は用事がないとなかなか旅にも出られない。まず自分にたいする言いわけが必要になる。どうしても旅に出なければならない、と自分を納得させるまでが大変なのだ。いちばんの障害はそれだ、と言ってもいいかもしれない。(後略)
  河出書房「心にのこる言葉」小野寺 健

カズオ イシグロはイギリスに帰化した日系作家。
言葉に対する小野寺氏のコメントも「そうなんですよねえ」と納得してしまったので引用しました。
僕もたまに一人でふらりと旅行に行ってしまう方なのですが、動機づけが難しい。
「行ってどうなるの?」と自問してしまう。結局行かずに「ああ、あの時行っとけば良かったなあ」ということになります。行くか行くまいか、迷った時には以上の言葉を思い出すことにしましょう。



「年寄りの海亀(turtle,タートル)が先生だったのに、僕らはその先生を陸亀(tortoise,トータス)と呼んでいましたが、、、」
「どうして陸亀(トータス)と呼んだの?」
「先生がわたしたちに教えた(taught us)からです」
  「ふしぎの国のアリス」ルイス、キャロルより

私達に教えた(taught us)と陸亀(tortoise)のしゃれであります。この手の現地語によるだじゃれも紹介していきたいと思います。



「私、夫を火葬にいたしましたの。」と未亡人が話し始めた。「そして、灰を砂時計に入れました。これで結婚以来初めて彼が私のために働いてくれるのを見られますわ。」
  講談社現代新書「イギリス紳士のユーモア」より

冬のロンドンのごとく何とも不気味なジョークであります。いわゆるブラックユーモア、昔からイギリス紳士諸氏の大いに好むところらしい。



ワンダの食人大統領だったアミン、
アミンがエールフランスのファーストクラスに3人の子供達と乗っている。そこに乗り合わせた客が友人に言う。
「アミンは残虐だなんて言われているが結構人間味があるじゃないか。きっと子供好きなんだな。」
そうすると友人が「お前分かってないな。あの可愛い子供達は右から朝食、昼食、ディナーなんだよ。」

  講談社現代新書「イギリス紳士のユーモア」より

またもや、ブラックです。庭仕事の合間、ティータイムにこんなの読んでくすくす笑ってるのです。



イギリス人作家、チェスタートンのエピソード
ある会食の席でテーブルスピーチを望まれて、チェスタートンは語った。

「ローマの闘技場で今しも奴隷とライオンの決戦が始まろうとしておりました。観衆は沸き立ち、ライオンは眼をらんらんと光らせ低いうなり声をあげて奴隷に近づきました。

ああ!だが、次の一瞬、奴隷はヒラリとライオンの首に飛びつき耳もとになにかささやいたのです。すると、どうでしょう。ライオンはスゴスゴ引き下がって行くではありませんか。いったい奴隷はなにを言ったのでしょう?

彼はこう言ったのです。”私を食べてもいいですけれど、あとでテーブルスピーチをさせられますよ”って」

 新潮文庫「ジョークなしでは生きられない」阿刀田 高より 

それほど嫌なもの。みんな嫌がるの知ってて人前で3分間スピーチとかやたらさせたがる教師、上司があちこちにいました。この時の3分間がやたらに長いこと長いこと。



元英首相チャーチルが首相就任期間中、髭を生やした事がありました。その時、口の悪い女性記者がチャーチルに向かって言ったそうです。
「私は、あなたの政策と同じくらい、あなたのその髭が気に入りませんわ!」
するとチャーチルはにっこり笑ってこう言い返したそうです。
「どうぞご心配無く、ご婦人。そのどちらにもあなたが触れる機会は永遠にありませんから。」

 Nakasan's Bar (チャーチルシリーズ)

御存じチャーチル首相。機転をきかしたジョークで敵対者をさらりとかわす、見事であります。うちの呉服問屋の若旦那みたいな首相も是非これくらいの余裕で答弁してもらいたいのですが。



さあ、帰ろう!
メニュウへ。