狭心症

狭心症とは

1狭心症は心臓の酸素不足により起こる

狭心症は、冠動脈が動脈硬化や一時的なけいれんにより狭くなり酸素が不足して(酸素の需要と供給のアンバランス:虚血)起こる。

2狭心症の症状 ―痛みの部位と性質―

●狭心痛を感じる場所
胸の中央、左胸部、左肩、首、下あご、みぞおちなど。胸痛が肩から腕などへ広がる(放散)こともある。
●痛みの性質
締めつけられるような、抑えつけられるような、重苦しいといった漠然とした痛み。胸やけ、肩凝り、歯痛などが主な症状のこともある。

3狭心症のタイプ

発作の起こり方により大きく2つに分けられる。

●労作狭心症:階段を昇ったり、会議中のストレスなど日常の動作中またはその直後に起こる。
●安静狭心症:睡眠中や安静時に起こる。

4発作の引き金

狭心症の発作はこんなときに起きやすい。
●激しい動作時(階段を昇る、急ぎ足で歩く)
●興奮したり緊張したとき
●急に寒いところに出たとき
●食後
●アルコール摂取後
●排便時など

発作時の心得

5狭心症の発作が起きたら…
●まず安静。
●ニトログリセリンを舌下に含む。
●効かなければもう1錠追加。痛みが続くようなら心筋梗塞を疑い、救急車で病院に行く。

ニトログリセリンの服用方法
●速く効くように舌下に含みます。飲み込んでしまうと、肝臓で分解されてしまうので注意。
●古くなると効果が低下します(開封後3カ月以内のものを使用)。

診断と治療

6狭心症の診断はまず問診(症状は的確に説明)

医師が正しく診断する上で、患者さんが発作時の症状を的確に表現することは大切です。
●症状を説明するときのポイント
いつ……………走ったとき、階段を昇ったとき、寝ているときなど。
どこが…………胸以外に痛かったところはないか。
どんなふうに…締めつけられるような、圧迫されるような痛みなど。
どれくらい……発作が続いた時間は。

7狭心症のいろいろな検査

運動中の心電図(負荷心電図)や携帯用の心電計でとった24時間の心電図(ホルター心電図)により、発作時の心電図を記録したり、冠動脈のどこがどのくらい狭くなっているかを知ること(冠動脈造影)は診断を確実にし、治療方針を決める上で必要です。

治療の目的と実際

8●目的
1 狭心発作を抑制し、生活の質(クオリテイー・オブ・ライフ)の向上をはかる。
2 心筋梗塞へ移行しないようにする。
●治療方法
1 ライフスタイルの改善
2 薬物療法
3 血行再建療法(PTCAA-Cバイパス術)

9狭心症の治療薬―薬の種類と使い分け―

狭心症の治療薬は、発作時に使用する薬と、発作を予防する薬に大きく分けられます。

10副作用は医師に連絡

●副作用が出たら、まず医師ご相談。
 自己判断は禁物。

11血行再建療法(PTCAA-Cバイパス術)
 
●バルーン療法(PTCA
 足のつけ根または腕の動脈から風船つきの管(バルーンカテーテル)を入れて、動脈硬化で狭くなった冠動脈を拡げ血液の通りをよくする。
A-Cバイパス術
 冠動脈の狭くなっているところより下流の部分と大動脈とをバイパス血管で結ぶ。

日常生活指導

12リスクファクター

狭心症・心筋梗塞の3大危険因子は、高コレステロール血症、高血圧、喫煙です。その他にも心臓に悪い影響をあたえるものがあり、日常生活ではこれらの点に注意することが大切です。

13食生活の3つの注意

●コレステロール、動物性脂肪を避ける。
●カロリーを抑え、肥満をなくす。
 標準体重=(身長一100)×0.9
●塩分を控え、高血圧を予防。

14コレステロール、動物性脂肪のとり過ぎに注意

●食品中のコレステロールは、1300mg程度を目安に。
●動物性脂肪を避け、植物性脂肪をとる。

15ただちに禁煙

●日本人では、タバコが虚血性心疾患の最大のリスクファクター

16ストレスと性格

●ストレスは虚血性心疾患の危険因子。
ストレスをためない工夫を。
●こんな性格の人はストレスを受けやすいので要注意

17運動の注意点

●適度な運動をした方がよい場合と、してはならない場合がある。
○安定した軽い狭心症、心筋梗塞の回復期
×狭心症発作がたびたび起こるとき
×心筋梗塞の発作直後
●全身を使った軽い運動が好適。
○歩行、ジョギング、自転車、水泳
×ウエイトトレーニング、重量挙げ
●天候や体調が悪い時、食後などは禁物。
●始める前に、必ず医師に相談を。

18性生活について

●性生活にはあまり神経質にならずに。
●必要ならニトログリセリンをあらかじめ服用

19日常生活の諸注意

●急な温度変化をさける。
●お風呂はぬるめ、長湯は禁物。
●仕事は無理をせずマイペースで。
●お酒はほどほどに。
●便秘をしない。
●十分な睡眠をとる。