1 植物の生理
種子の発芽 | 種子の発芽には、適当な温度と水分と酸素が必要なんだよ。 覆土をすると乾燥害や鳥害を防ぐが、厚すぎたり硬い土では酸素不足などを生じるから 芽が地表に出られなっちゃうよ。発芽には、とくに光が必要なものもあるから気をつけようね。 また、化学肥料に接触すると肥焼けを起こすからあらかじめ混ぜるか回りに施肥しよう。 種子は充実した発芽率のよいものを選ぶ。硬実といって種皮が硬いために芽を出せないものがあり、 このときは砂や薬品で種皮を破って芽が出やすくする方法もあるよ。 発芽を早める方法として、予め種子に吸水させ、保温して、少し芽を出さしてからまく、芽出まきの方法があるよ。 発芽の適温は25℃前後から比較的高いものが多いんだよ。でも、パンジーなどのように15℃以下の 低温で発芽するものもあるから、このようなものは夏に種子をまくときは冷蔵庫で芽出をしよう。 |
根の伸長 | 移植した苗が活着するには新しい根が伸びてこなければならないよ。 植物の茎や根の内部に根の原基(根のもと)があり、そこから新しい根が発生するんだよ。 根は新しい根、細い根ほど水や養分の吸収力が強いよ。 |
水分や養分の吸収 | 細根の細胞は、浸透圧の働きによって植物体内に水分をとり込むんだよ。 茎には多くの維管束(導管や篩管の束)があり、茎から葉の組織まで、浸透圧と葉からの蒸散(ポンプの役目)で水や養分を送る。蒸散が盛んなときは、水の吸収も盛んである。 この時、植物体の溶液により水に溶けた肥料分等の濃度が高いと浸透圧の作用が逆に働き、植物体に脱水症状(肥焼け)を起こすから夏の暑い日の昼間は水やりを控えようね。 |
光合成 | 根から吸い上げた水分、空気中の炭酸ガス(CO2)が葉の葉緑体中で太陽の光のエネルギーを得て炭水化物(糖・澱粉)に変わることを「光合成」といい、この炭水化物は植物体をつくりあげる素材 であるとともに、生活や成長のエネルギー源なんだ。 葉の表裏両面には気孔が無数にあり、植物が光合成を行なうのに必要な炭酸ガスを取り入れる一方で 酸素を放出し、水分を蒸発させるよ。 葉の表皮着下の柵状細胞、さらに内部の海綿状細胞の中の葉緑体が直接「光合成」の役目をする。 空気中の炭酸ガス濃度は、ほぼ一定であるから、「光合成」能率を高めるには下葉まで光が届くよう に植え方の工夫することが大切だよ。 |
日長低温と開花 | 花は、葉が分化・変形したもので、春になり昼間の時間(日長)が長くなると花が咲くものもあれば、 逆に夏至を過ぎて日長が次第に短くなると花が咲くものもあるよ。 |
受粉受精 | 花が咲いて雄しべの葯が破れると、なかにある花粉は風や昆虫などに運ばれて雌しべの柱頭につく。 柱頭に着いた花粉は、早いものは5分後には発芽する。発芽した花粉管は雌しべの中へもぐり込み、伸びてその先が胚嚢に入ると、先端から2コの精子が出て、1コは胚嚢の中にある卵、もう1コは中心核と結合するのを受精というんだよ。 受粉から受精完了までに早いもので5時間、おそいものは12時間かかり、気温が低いとさらに時間がかかるよ。 低温や乾燥時にはうまく受精ができないことがあるんだよ |
植物ホルモン | ホルモンは植物体内のいろいろな部分で作られる極く微量な物質で、植物体内を移項して根、茎、 葉、花、実の成長や働きを促したり抑えて、環境に適応させる働きをするよ。 ○オーキシン 主に頂芽で作られ、茎の伸長や発根を促進するが、反面、腋芽が出るのを抑える働きもあるよ。 ○シベレリン 植物体内のいろいろな部分で作られ、茎の伸長や種子発芽を早めたり、花芽形成を促進するよ。 ○サイトカイニン 根で作られ、体内中を移動して細胞分裂を調節したり、タンパク質の分解を 防いで葉の緑を長く保ち、光合 成を促す働きがあるよ。 |