社会科学習指導案

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1  学 年   第6学年 

2  単元名   歴史人物事典つくり

3  単元について

  現代社会は,コンピュータの発展・普及によって急激に高度情報化している。学校教育においても,このような社会変化に対応できる基礎的な資質を養うという観点から,情報活用能力の育成が求められている。小学校指導書一般編において,「コンピュータについては,小学校ではそれに慣れ親しませることを基本としており,教科の指導において指導の効果を高める観点から利用したり,クラブ活動で利用したりすることが考えられる」とされている。
 教科指導とコンピュータリテラシー育成指導を系統的に行うための「コンピュータ教育年間指導計画」を作成し,学級担任とパソコン専科とのT・Tで実践している。児童は,これまでにローマ字入力による文書作成・ワープロ機能,マウスによる図形作成・グラフィック機能などを修得している。そこで,社会科の歴史学習とデータベース機能を関連させ,「歴史人物事典を作ろう」と課題を設定した。
 学習指導要領で42名の人物名が示され,人物重視の歴史学習となっている。これまで学習したことを人物中心にまとめ,データベース化することにした。歴史上(室町時代まで)の人物を2人1組で分担し,学級全体で調べ学習を行う。調べ学習を実施することによって歴史的背景や業績などについて興味関心をもって主体的に情報を収集できると考える。また,データベースに入力し他の児童に知らせることによって,情報内容を吟味し,より一層的確に伝達できるように取捨選択する能力も養えると期待する。
 個々に調べたデータは,「歴史人物事典」として学級全体で統合する。このようして作成した「歴史人物事典」を使い,時代や内容(業績)などの項目からデータを検索する。歴史学習のまとめとともに情報活用能力の育成を図りたい。

4 単元目標

(1)調べ学習を通して,既習事項を整理し,自分なりの課題を見いだし主体的に学習できるようにする。
(2)パソコンを活用し,情報の収集や整理,検索といった情報処理活動に意欲的に取り組めるようにする。

5 指導計画(全8時間)

第1次(4時間)  
 第1時 人物を取り上げ歴史学習のまとめかたを話し合う。
 第2時 学級全体で歴史上の人物を選定し,2人1組で調べる人物2人を設定する。
 第3時 歴史上の人物について資料を使って調べる。
 第4時 調べた事柄を点検・整理する。
第2次(4時間)
 第1時 データベース機能を知る。
 第2時 調べた事柄をデータベースの項目にそって入力する。
 第3時 時代や内容などについて検索し,入力されたデータを活用する。(本時)
 第4時 歴史学習についてまとめ,更に調べたい課題などを話し合う。

6 動作環境

(1)使用OSとシステム    MS-DOS3.30D HYPERcube2
(2)対応機種    NEC PC-9801 US (児童用20台,教師用1台)
(3)ネットワークシステム   PC SEMI JA,教材提示装置
(4)周辺機器   マウス,プリンター 

7 本時の展開

(1)本時の目標
 ・データベースから人物を検索し,歴史学習のまとめを行う。
 ・データベース機能を通して情報処理活動を理解する。

学 習 活 動
指 導 上 の 留 意 点
2人1組で調べた人物をLAN機能で学級全体に紹介する。 各組で調べた人物データの概要を知らせ歴史クイズへの興味付けを行う。
歴史クイズ「私は誰でしょう?」のルールを知る。 歴史的業績を中心に人物を考える。個人で予想を立てた後,パソコンで確
認させる。データベース機能の紹介をする。
各組で調べた人物データを1つに統合し,「歴史人物事典」
にまとめる。
個々のデータでは検索できないことに気付かせ,統合する必要性を知らせ
る。統合(追加読み込み)作業は教師で行い,操作過程はLANの一斉送
信で児童に提示する。
データベースの検索機能を使って歴史クイズをする。 プリント課題「私は誰でしょう?」を各児童1人で行う。予想の確認はデータ
ベースの検索機能で学級一斉に実施する。
歴史クイズを通してこれまでの学習をまとめ,自分なりの課
題を見い出す。
新しく知ったことや新たに調べたいことなどを話し合い,今後の歴史学習へ
の動機付けをする。

(2)データベース例

名前 鑑真
よみがな がんじん
時代 奈良時代
活躍した内容  高僧として知られていた鑑真は,日本からの留学僧に戒律(僧が守るべき規則)を伝えてほしいとたのまれ,日本に渡
る決意をするが,5度失敗した。その間,失明するという苦難を乗り越え,12年目の754年,日本にたどり着くことができ
た。翌年,東大寺で聖武天皇らに戒律をさずけた。759年,唐招提寺を建て,仏教の布教に努めた。
 また,鑑真は,仏教の経典に詳しいだけでなく,医術にも精通していたので,光明皇后などが病にかかったとき,鑑真の
すすめた薬がよくきいたといいます。
関連する人物 聖武天皇


8  考察

  室町時代までの歴史学習を整理し,主体的な学習態度を身に付けさせために,「歴史人物事典」をデータベースで作成した。児童に歴史上の人物を分担し,それぞれ活躍した内容と関連人物などについて調べ学習を行った。調べ学習を行うに当たっては,資料をただ書き写すのではなく,他の児童にも分かりやすい文章にすることに留意した。他の児童にも理解しやすい文章を作ろうすることで,曖昧な知識を確実にし,新たに知りたい事柄に気付き,積極的に課題を追求する態度と能力を養うことをねらった。
 パソコンのデータベース機能を利用することで,従来からある黒板やプリントなどではできない活用法が見出せた。その1つは,児童がそれぞれ分担された課題について調べ学習を行い,学級全体で統合(データベース・カードの追加読み込み)する情報処理過程をLAN機能で児童全員に具体的に提示することができた。児童が作成した1枚1枚のカードを統合し,1つのファイルとして学級全体で利用できる,パソコンならではの良さを体験することができた。2つめに,データベースの検索機能を活用することによって,関連した事項を有機的に結び付けることができた。課題に対する解答を求めるだけでなく,検索されたカードを読むことによって,今までばらばらに知っていた事項を関連付け,より深く理解することができた。
 今後,コンピュータリテラシー育成指導と関連付けながら学習を進めていきたい。また,教師からの一斉授業ではなく,児童自ら課題をもち,試行錯誤しながら解決する学習形態も引き続き重視していきたい。高度情報化社会に対応する資質と能力を育成するために,情報を発信する経験を数多く積ませたい。