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 自

はじめに

 「おもしろい」「驚き,感動する」「生き生きと活動する」などの要素が魅力的な授業の条件として考えられる。そのためには,教材を深く研究することが必要です。児童・生徒の興味関心と既に獲得されている知識・技能,教師としての指導目標との間をうめるのが,学習指導案です。授業における,学習の目標,内容,方法,形態,指導方針,児童・生徒の実態などの緒条件を明らかにし,それらの展開シミュレーションに沿って記述されます。
この展開シミュレーションというのは,予め用意した課題や発問に対して予想される様々な反応,それに対する指導法などを具体的にイメージすることです。このイメージがより鮮明で実態に合ったものであることが,何よりも重要なのです。これまでは,主に文章化された計画案,または画用紙などで作られた提示物などで授業の展開イメージをふくらませていました。演劇に例えるならば,シナリオと小道具となるのでしょうか。
 自作ソフトで授業を行おうとすれば,前述の展開シミュレーションをパソコン画面上で表現することができます。メッセージや画像を指導計画に合わせて提示すれば,授業を模擬的に検証することができます。授業設計に対する方針が見出だせないのは,「濃霧がかかる」「糸がからむ」状態に似ています。手探りで周りの状況を調べ目的地までの道のりを見当をつけなけらばなりません。また,からまった糸の場合は,もつれ具合をじっくり観察し,一つ一つ解きほぐす必要があります。「…記憶内における情報をリハーサルしないと約10秒で消失してしまうからである(Murdock1961参照)。」「ミラー(Miller 1956)によれば,短期記憶では7±2単位の情報を保持でき,サイモン(Simon1974)の説によれば約5単位にすぎないのである。」(「学習指導と認知心理学」E・D・ガニエ)  短期記憶内で指導方針が一筋の糸のように見通せることが理想的ですが,必ずしもそうはいきません。長期記憶内から課題となっている問題とよく似たものを選び出し,解決の方針を立てます。方針をパソコン画面上でモニタリングし,課題解決までの過程をステップごとに確認していきます。このように応答性に富んだパソコンを使って自作ソフトを作成すれば,教材研究の成果を効果的に反映させることができます。
 授業を指導目標達成のためのシステムとしてとらえ,授業設計を行ないます。実践された授業を通して仮説を検証し,目標に対する評価・改善をし,より望ましい授業システムを構築していきます。 自作ソフトを活用すれば,目の前の児童・生徒の温もりを感じながら,その目線の高さに適した学習環境を提供することができます。

プログラミングは教材研究の試金石

プログラミング修得は,ソフト作りそのものを目的にしているのではなく,おもしろくわかりやすい授業を追求しようとする手段,あるいは出発点です。豊か授業設計があれば,それに見合うソフトを作ってみたくなります。プログラミングするうちに様々なアイデアが浮かんできたり,不十分な点が明確になり,構想を練り直す機会に巡り会えたりします。
 プログラミングと授業設計は相互に関係しながら発展していきます。作成過程で教材研究が深まるとともにプログラミングでパソコンを自由にあやつる楽しさを味わうこともできます。

自作ソフト作成を効率的に 

 自作ソフト作成には,プログラミングの技能と確かな教材観・児童観が求められます。教材研究もプログラミング研修も共同で行ないたいものです。共同研究では多種多様な意見や考え方に触れることができ,お互いに切磋琢磨できます。プログラミング技能を習得するのは容易ではありませんが,プログラミングをすすめていけば,入力された文字判断法などテクニックがいくつか蓄積できますので,慣れるにつれて困難なハードルは徐々に低くなっていきます。
 まずパソコンを使ってできること,自分がやりたいことをはっきりしておきます。完成した自作ソフトはライブラリ化し,日常的に活用できる環境を整えたいものです。