コンピュータ教育カリキュラム細案  
−ネットワーク社会におけるデータベース活用編−

’97/02/21高野町教育研究会コンピュータ部

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コンピュータ教育カリキュラム案 コンピュータ教育カリキュラム細案−ワープロ活用編−


1 はじめに−データベースとは?−
 
データベースを「情報基地」にたとえることがあります。住所録や本のリストなどはたくさんのデータを整理,分類して管理したいときに使います。たくさんの情報を集めてデータベースを作ると,必要に応じて条件に合うデータを検索したり,並び替えたりすることができます。そして,画面に表示したり印刷したりすることもできます。
 データベースには,複数のファイルを関連づけて処理する機能を省略したカード型データベースと,複数のファイルにまたがる本格的な処理を行うためのリレーショナル型データベースがある。ここでは,レコード・項目・データ型などファイル設計に係わる説明よりも,具体的な活用例を中心に紹介します。そして,コンピュータをデータ回線で相互につないだコンピュータ・ネットワークが形成されている今日,コンピュータ通信・インターネットの積極的な利用が必要不可欠です。この点についても今後の研究課題として位置付けていきます。

2 データベースソフト活用例
 
データベースの最も基本的な利用として,自ら集めたデータを整理するという使い方があります。収集したデータを利用するには,データに共通な項目を立て,整理する作業が必要です。新出漢字の読みや書き順,意味,熟語などの項目で整理し,蓄積していくと,手作りの漢和辞典が出来上がります。音楽科では,作詞・作曲家のデータベースなどがあります。このとき文字情報だけでなく画像データも表示できればビジュアルなデータベースになります。社会科での特産物調べ,理科での動植物調べ等でもデータベースの利用が考えられます。
  このような活動をとおして,情報の収集から整理,活用の力を身に付けることができます。調べ学習等で収集した情報をデータベースに記録,整理するとき,どういう項目で分類するのかが,重要になります。先の新出漢字の例では,「読み」「書き順」「意味」「熟語」といった項目で整理し,蓄積していきます。こうしておけば,同じ読みの漢字を検索すれば,同音異義語を瞬時にして集めることができます。1つの漢字について詳しく知るだけでなく,検索機能を活用することによっていくつかの漢字を関連づけることができます。
  学級や学年単位での活動では,1人ずつの小さなデータを集積して大きなデータベースを作成できます。データは,1人で占有するのではなく,共有することで有効に働き活用できるのです。情報の発信,伝達という活動が,具体的な学習活動において行えます。
 児童・生徒が自ら作成するのではなく,予め用意された広範なデータベースを活用して調べ学習を展開することもできます。この場合,CD−ROM等に納められた情報やコンピュータ通信やインターネットに公開されている情報の収集が中心となります。しかし,ここで注意したいのは,「コンピュータ通信・インターネットのデータベースで調べた」ということを過信しないことです。検索して得られた情報を違う角度から検討したり,現場に出かけて実際に見ること・人に会って話を聞くことも重要です。「コンピュータ情報サービスの利用は,そのフットワークをより効率的に行なうための,『下調べ』くらいに認識しておくとよいだろう。」「公開されている膨大な情報を検索し突き合わせることによって,個々の情報からは見えなかったものが見えてくる場合もある。」(「コンピュータ情報検索術」・中央PC新書・速水栄著)
 注意を払う必要があるもののコンピュータ通信の世界は,「情報の宝庫」です。毎日膨大な電子メールが発信され,フリーソフト・シェアウェアソフトが登録されています。ニフティサーブの例では,フォーラムあるいはステーションという大きなグループが500以上(’96年4月現在)あります。フォーラムにはコンピュータ・医学・教育など領域別の電子会議室があり,情報交換が行えます。
 本格的な情報サービスとしては,新聞・書籍・人物などの商用データベース検索が利用できます。海外へのアクセスも可能で,自宅に居ながらにして巨大なデータベースを利用することができます。新聞の切り抜きでは,テーマごとにまとめ,スクラップブックに貼り付けていかなければなりません。情報が必要なとき,これらのスクラップブックを1枚1枚めくりながら見つけます。大変な手間暇がかかります。切り抜きの時点で読み捨てた情報については,手のほどこしようがありません。オンライン情報サービスの「ニュース」には,全国紙・地方紙・専門紙・通信社・海外の過去の新聞記事と速報データが蓄積されています。ここでは過去10年にわたる新聞記事が収録されており,キーワードをもとに検索できます。キーワードで検討しながらデータベースを検索する過程は,そのまま頭の整理にもなります。検索では,求める一つの項目に対して,それに関連する多くの項目が提示されます。その中から徐々に絞り込んでいく方式を採るので,情報の漏れも少なくなるし,ひいてはより多くの情報も得られるということになります。
 速報ニュースの「クリッピングサービス」を利用すると,新聞の切り抜きが不要になります。あらかじめキーワードを登録しておけば,そのキーワードを含むニュースが配信されると,該当する記事を自動的に自分が決めたホルダー(オフィスで書類をホルダーにまとめるように,コンピュータ上でも電子の書類をホルダーにまとめる)にファイリングしてくれるというものです。

3 具体的な活用例−歴史人物事典づくり
社会科学習指導案


指導者 坂本八十八
ア 日 時   平成7年7月7日(金) 第2限2 
イ 学 年   第6学年 男子19名 女子15名  合計34名
ウ 単元名   歴史人物事典つくり
エ 単元について  
 現代社会は,コンピュータの発展・普及によって急激に高度情報化してい る。学校教育においても,このような社会変化に対応できる基礎的な資質を養うという観点から,情報活用能力の育成が求められている。小学校指導書一般編において,「コンピュータについては,小学校ではそれに慣れ親しませることを基本としており,教科の指導において指導の効果を高める観点から利用したり,クラブ活動で利用したりすることが考えられる」とされている。
 今年度,教科指導とコンピュータリテラシー育成指導を系統的に行うため の「コンピュータ教育年間指導計画」を作成し,学級担任とコンピュータ専科とのT・Tで実践している。
 児童は,これまでにローマ字入力による文書作 成・ワープロ機能,マウスによる図形作成・グラフィック機能などを修得している。そこで,社会科の歴史学習とデータベース機能を関連させ,「歴史人物事典を作ろう」と課題を設定した。
 学習指導要領で42名の人物名が示され,人物重視の歴史学習となってい る。これまで学習したことを人物中心にまとめ,データベース化することにした。歴史上(室町時代まで)の人物を2人1組で分担して,学級全体で調べ学習を行う。調べ学習を実施することによって歴史的背景や業績などについて興味関心をもって主体的に情報を収集できると考える。また,データベースに入力し他の児童に知らせることによって,情報内容を吟味し,より一層的確に伝達できるように取捨選択する能力も養えると期待する。
 個々に調べたデータは,「歴史人物事典」として学級全体で統合する。こ のようして作成した「歴史人物事典」を使い,時代や内容(業績)などの項目からデータを検索する。歴史学習のまとめとともに情報活用能力の育成を図りたい。
オ 単元目標
(ア)調べ学習を通して,既習事項を整理し,自分なりの課題を見いだし主体的に学習できるようにする。
(イ)コンピュータを活用し,情報の収集や整理,検索といった情報処理活動に意欲的に取り組めるようにする。
カ 指導計画(全8時間) 
第1次(4時間)  第1時 人物を取り上げ歴史学習のまとめかたを話し合う。  
             第2時 学級全体で歴史上の人物を選定し,2人1組で調べる人物2人を設定する。
            第3時 歴史上の人物について資料を使って調べる。
            第4時 調べた事柄を点検・整理する。
第2次(4時間)  第1時 データベース機能を知る。  
            第2時 調べた事柄をデータベースの項目にそって入力する。
            第3時 時代や内容などについて検索し,入力されたデータを活用する。(本時)
            第4時 歴史学習についてまとめ,更に調べたい課題などを話し合う。
キ 動作環境
(ア) 使用OSとシステム    MS-DOS3.30D HYPERcube2
(イ) 対応機種    NEC PC-9801 US (児童用20台,教師用1台)
(ウ)ネットワークシステム   PC SEMI JA,教材提示装置
(オ) 周辺機器    マウス,プリンター 
ク 本時の展開
(ア)本時の目標  
・データベースから人物を検索し,歴史学習のまとめを行う。
・データベース機能を通して情報処理活動を理解する。
(イ)本時の展開
学 習 活 動
支  援
1.2人1組で調べた人物をLAN機能で学級全体に紹
  介する。
各組で調べた人物データの概要を知らせ歴史ク
イズへの興味付けを行う。
2.歴史クイズ「私は誰でしょう?」のルールを知る。 歴史的業績を中心に人物を考える。個人で予想
を立て た後,コンピュータで確認させ る。データ
ベース機能の紹介をする。
3.各組で調べた人物データを1つに統合し 「歴史人物
  事典」にまとめる。
個々のデータでは検索できないことに気付かせ,
統合 する必要性を知らせる。 統合(追加読み込
み)作業は教師で行い, 操作過程はL ANの一
斉送信で児童に提示する。
4.データベースの検索機能を使って歴史クイズをする。 プリント課題「私は誰でし ょう?」を各児童1人で
行 う。予想の確認はデータベースの検索機能で
学級一斉に実施する。
5.歴史クイズを通してこれまでの学習をまとめ,自分な
  りの課題を見出す。
新しく知ったことや新たにとめ,自分なりの課題を
見い出す。 調べたいことなどを話し合い,今後の
歴史学習への動機付けをする。

4 インターネット
(1)インターネットとは?
  「インターネットとは,『世界中のすべてのコンピュータをつなぐコンピュータ・ネットワーク』だというのが,いちばん簡単な理解だと思います。」「個々のコンピュータが直接話す関係にあるインターネットに対して,コンピュータ通信は中心にある一つのコンピュータに,たくさんのコンピュータが接続していくというものなのです。」(「インターネット」岩波新書村井純著)
  インターネットには,テキスト(文字・文章)や画像(写真・イラスト・CG)ばかりか音声や動画までが公開されています。インターネットは「情報の宝庫」であり,自宅に居ながらにして世界中の情報を集めることができます。しかし,インターネットの問題点は,使い勝手と情報の質にあります。コンピュータ通信には管理者がいます。管理者がユーザーに使い易い環境を常に整えています。一方,インターネットにはこの管理者がいないため情報がまったく整理されていません。そこで,サーチエンジンという情報検索ツールを使うのですが,インターネットにあるすべての情報をリストアップできるというわけではありません。膨大な情報資源が存在するインターネットでは,玉石混交の状態にあると言わなければなりません。そこで,インターネットとコンピュータ通信それぞれの長所を生かしながら,情報収集あるいは情報発信していく必要があります。
(2)インターネット−デジタル・テクノロジー−インターネットが急速に普及するなか,どのような社会変化が起こっているのかが注目されます。「人間はいままで文化的,知的な財産として持ってきた情報や知識を,デジタル情報として表現することができるようになってきました。
  すなわち,文字,映像,音など人間がつくり出してきたさまざまな知的財産は,デジタル表現(数値による表現。電子的には電流のオン・オフに対応させた1と0の二つの値をもつデータの集まり)で表されはじめたのです。…(中略)…デジタル情報は1と0の並びですから,正確にコピーをすることができます。…(中略)…デジタル情報は,コンピュータで高速に処理し,加工することができます。…(中略)…インターネットは,このデジタル情報の特徴により,知識や情報を世界中で自由に交換,共有するためのインフラストラクチャーなのです。」(「インターネット」岩波新書村井純著)

情報収集−パソコン通信・インターネット利用
 
パソコン通信やインターネットには膨大な情報が蓄積されている。居ながらにして,必要な情報を手に入れることができる。

  コンピュータを使えば,この環境が手に入ります。コンピュータに蓄積できる情報量は途方もない分量で,個人の資料のかなりの部分をおけます。蔵書の一部おけます。その情報が使いやすく,検索しやすいのが決定的な利点です。<「コンピュータをどう使うか活字から電子メディアへ」諏訪邦男>
 
  最近はインターネットの普及により,「持っているデータは公開し,お互いに利用しあいましょう」という空気も生まれてきた。 電子メールで実現できてファックスでは不可能なこと,それは送られてきた情報をデータとして保存し,手を加えて再活用できることである。
<「コンピュータ情報検索術」速水栄>

 コンピュータは強力なデータ処理マシンであり,情報収集マシンでもある。
<「文科系のコンピュータ技術」中尾 浩>