活用事例(宝さがしver2)マイクロワールド
Web公開データ
平成15年度 第19回  学習ソフトウェアコンクール  奨励賞 受賞
「NEW教育とコンピュータ」(学研: ’03/10月号)
 自作web教材が創り出す
「遊びながら学ぶ」学習環境


         

1 「宝さがし」ゲーム・授業のねらいと目標

・身のまわりにあるまるいものに関心をもち,共通の性質を理解しようとする。
・「まるい形」という感覚を,「宝さがし」ゲームを通して円・球という数学的な概念に深めることができる。
・コンパスを使って円をかいたり,長さを比較したりできる。
・円や球,およびそれらの中心,半径,直径の意味を理解することができる。


2 学習活動の流れ

第1次 学習課題設定(1)
「宝さがし」ゲームによる円の学習への動機づけ・・・本時
第2次 円(4)
 第1時・・・円のかきかたの工夫とコンパスの使い方
 第2時・・・円の中心,直径および半径の関係
 第3時・・・コンパスを使った模様づくり
 第4時・・・長さを写しとる道具としてのコンパスの使い方
第3次 球(1)
 球の性質の理解
第4次 まとめ(1)
 円に関する用語と性質の確認


3 実践のポイント

●「円」の定義をイメージ化
 第1学年では,円と球をまるい形,ボールのような形としてとらえています。本単元では,円についてこれまでの概括的な見方からより発展させ,分析的に一般的な性質を理解し,同時に円の概念を明確にすることをねらいとします。自動車の車輪づくりやこまづくりなどを導入素材に用いれば,1点からの等距離にあることには着目できますが,点集合であることまでは意識できません。そこで,コンピュータによる「宝さがし」ゲームを考案しました。
●個人の思考を深めるために
 宝は1点(画面の中央)から等距離の場所に6つ隠されています。画面上のカメは画面の中心にいますが,このカメに「歩け」と命令するとちょうど100歩を歩き,元の場所に戻ります。児童は,カメの向きを変えながら画面の中央からカメを100歩移動させることを繰り返します。カメがうまく宝の真上にいけば宝が現れる,というゲームです。
 
           

 児童は,宝を発見するたびに歓声を上げ,意欲的に取り組んでいました。カメが移動したところには,点がプロットされ,画面上の点がだんだん増えていきます。このプロットさせる作業を通して,「まるい形ができそう」と気づき始め,「遊び」が「きまり」を見つけだす「学び」へと変化していき,円の定義を発見的に理解することができました。このように「遊びながら学ぶ」という学習環境を設定することによって,意欲的な学習を組織することができました。

                         
●集団での思考を深めるために
 「宝さがし」ゲームを通して発見したこと・考えたことをまとめるためにシミュレーションを活用します。その際,児童がゲームを通して気づいたことを出し合い,学級全体で討議し,円について考えたことや疑問に思ったことなどを焦点化しておくことが大切です。場合によっては,シミュレーションを提示することによって児童の思考活動を妨げることがあるので留意したいものです。
 児童から様々な意見や考えが出された後,確認の意味でシミュレーションを提示し,カメは等距離に進んだところへ点を無数にプロットしていること,この点集合が「円」であることを知らせました。そして,カメは等距離進んだ後,必ず元の位置に戻り,ここに点が1つプロットされます。そして,このカメの動きが残像となって連続して見えるようにプログラムを工夫しました。
 この点が「中心」であり,「中心」とプロットされた点までの距離(「宝さがしゲーム」での100歩)が「半径」,その「半径」の2倍の長さがあるものが「直径」であることも知らせました。

            


4 実践の成果と課題

●実体験とのコラボレーション
 「宝さがし」ゲームで円の定義をイメージ化し,「中心」「半径」「直径」などの用語を知った後,次時の学習ではコンピュータを使わないで円を作図する方法を工夫しました。
 児童は,ものさしやひもなどで1点(中心)から等距離(半径の長さ)にある点を無数にプロットしようと努力していましたが,大変な労力が必要であり,正確な作図は困難であることを実感しました。
 その後,児童は,厚紙に長さの目盛りを入れた「簡易ものさし」と画鋲を使うことを見つけだしました。画鋲で「簡易ものさし」の端を固定させ,半径の長さにあたるところに穴を空け鉛筆を差し込み,この「簡易ものさし」を苦労しながら1回転させると,円が作図できました。半径の大きさは,「簡易ものさし」の目盛りで調節できることも発見しました。その後,児童はこの「簡易ものさし」を使って何度も何度も円を作図していました。
 さらに,「簡易ものさし」から発展させて「コンパス」があることを知らせました。これまで「コンパス」について知っている児童もいましたが,「宝さがし」ゲームと「簡易コンパス」での作図を通して,コンパスが円を作図する道具として優れていることが児童に印象づけられ,円についての学習意欲を高めることができました。
●指導計画に位置づけて・・・
 コンピュータを活用した実践では,単元全体を見通し,その活用方法を位置づける必要があります。今回の実践では,円の定義をイメージ化し学習意欲を高めるために導入素材としてゲームを活用しましたが,単元のまとめに活用するなどさまざまな形態を模索していきたいものです。

5 今後の展望

 「宝さがし」ゲームは,ブラウザにプラグインをインストールすると,web上で実行できます。下記のURLにデータがありますので,ご覧いただければ幸いです。
 今後,既存の「宝さがし」ゲームなどに改良を加えるとともに新しいweb教材を開発していきたいと思います。