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1月定例句会 | 363回 | 17.1.27 | 山野 興仁会館 |
年玉の袋用意や臥せし女 | 伊奈寛雄 | |
神の庭足踏み入れて年開くる | 伊奈寛雄 | |
初明かり迎えし鳥の点となり | 伊奈寛雄 | |
美 | 大根干すガードレールで脚競う | 伊奈寛雄 |
露天風呂朝日に映える石蕗の花 | 伊奈寛雄 | |
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小豆煮る香りただよう大晦日 | 荊木和代 | |
静、宏、育、寛 | 初仕事老いを見せじと鍬を振る | 荊木和代 |
起 | 駅伝に沸く箱根道や山眠る | 荊木和代 |
初夢や亡夫と語る床の中 | 荊木和代 | |
百歳の母を訪ねる小正月 | 荊木和代 | |
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マ | サーチライト風花何気なく斬りし | 尾尻宏介 |
秋空に田圃をまかせ離農せり | 尾尻宏介 | |
早、美 | ジーンズの破れ目闊歩冬の街 | 尾尻宏介 |
日、マ | 暗きに立つ仏に向き合う初詣 | 尾尻宏介 |
かの人の賀状もいちど読み直す | 尾尻宏介 | |
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美 | 小豆煮る厨に香る小正月 | 梶本マサエ |
和、宏、育、寛 | 初春や土の匂いの友の来て | 梶本マサエ |
和 | 慈顔なり地蔵笑みおり初詣 | 梶本マサエ |
指を吸ふ嬰(やや)にやさしき春の風 | 梶本マサエ | |
穏やかに曾孫抱きつつ初笑い | 梶本マサエ | |
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鶏鳴に酉年明くる山の里 | 坂口早苗 | |
静、和、育、寛 | 初膳や箸に印せし家族の名 | 坂口早苗 |
起 | 竿売りの呼び声長く霜の朝 | 坂口早苗 |
美、静、和 | 孫の酌朱盃に受くるおらが春 | 坂口早苗 |
ねんねこの眠ればこたゆ背の重み | 坂口早苗 | |
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早、和、起 | 願い込め力の一打除夜の鐘 | 小路日照 |
起 | 山伏の法螺寒行をささえたり | 小路日照 |
マ | 山下る杣天秤に炭担ぐ | 小路日照 |
亭主女の薄紅のみの初茶席 | 小路日照 | |
宏 | 冬ざれの道を嗅ぎゆく痩せ犬よ | 小路日照 |
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手を合わせ孫の差し出すお年玉 | 西川静枝 | |
指おりつ道をばあるく我が姿 | 西川静枝 | |
若い子の葬式まいり涙おち | 西川静枝 | |
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起 | 蛇口より若水汲みて口すすぐ | 森 育子 |
宏 | 賽銭の底まで届き年明ける | 森 育子 |
美、静、マ | 老いの頬幼子に寄せ初笑ひ | 森 育子 |
三門を一族で占め初写真 | 森 育子 | |
幕下りて茶買い走る初芝居 | 森 育子 | |
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日、早 | 新しき句帖開きて年迎ふ | 森美起夫 |
受信せしメール溜りて六日かな | 森美起夫 | |
宅急便にこにこ届く初荷かな | 森美起夫 | |
静 | 還暦の顔寄せあつめ新年会 | 森美起夫 |
日、早、育、寛 | 武将凧昇りて下界睨みけり | 森美起夫 |
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日、宏、育 | 雪の底蛇(じゃ)の如潜む活断層 | 山田美幸 |
被災地の十年問いし初景色 | 山田美幸 | |
初詣晴れ着姿の犬連れて | 山田美幸 | |
新春の美(は)しき言祝筆に乗す | 山田美幸 | |
日、寛 | 酢茎菜(すぐきな)をくるくる解けば室(むろ)の味 | 山田美幸 |
2月定例句会 | 364回 | 17.2.27 | 山野 興仁会館 |
育 | 五体投地(ひじつき)の僧ひるがえる二月堂 | 伊奈寛雄 |
しぶき立て雪の浅瀬に烏(からす)二羽 | 伊奈寛雄 | |
修二会行シャラシャラ僧の紙衣 | 伊奈寛雄 | |
育、和 | 春一番山を動かし花粉起(た)つ | 伊奈寛雄 |
日、育、宏 | 縮むだけ縮めて走る氷雨中 | 伊奈寛雄 |
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晴れた句の思案つかぬや春火燵 | 荊木和代 | |
静 | 春暁や野良着の亡夫夢に出る | 荊木和代 |
紅椿紅の一口開きけり | 荊木和代 | |
同窓の古希を迎えて観梅に | 荊木和代 | |
バレンタイン遺影の前にチョコレート | 荊木和代 | |
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和 | 転がって思わぬ所に春の空 | 尾尻宏介 |
静 | 家路とぼとぼここも幸せ「鬼は外」 | 尾尻宏介 |
日、起 | 雪女壁にも気配冬別荘 | 尾尻宏介 |
静 | 春の香のまだ無き斜面の草に座す | 尾尻宏介 |
和 | 節分の二つ穴開く紙の面 | 尾尻宏介 |
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静 | 一握り零れる程に年を取り | 梶本マサエ |
切干しの雲に遊ばれ日向追う | 梶本マサエ | |
日 | 幼な友黄泉路一人よ春浅し | 梶本マサエ |
笑み浮かべ新年会や酒の顔 | 梶本マサエ | |
友杖を笠を忘れず春黄泉路 | 梶本マサエ | |
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宏、マ | 棟梁の段取り話す焚火かな | 坂口早苗 |
遅れ咲く庭の山茶花尚赤く | 坂口早苗 | |
門いれに灯明おどる春座敷 | 坂口早苗 | |
和、マ、起 | 風の子の頬を真っ赤に冬帽子 | 坂口早苗 |
起 | 青海苔の飛沫もきらり舟に入れ | 坂口早苗 |
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育、宏、寛 | 青海苔の飛沫もきらり舟に入れ | 小路日照 |
選句果て葛湯飲む間の話かな | 小路日照 | |
ポッカリと雲間に見える春気配 | 小路日照 | |
育、宏、寛 | 白息の一塊とびて僧の喝 | 小路日照 |
寛、マ | 芝焼きの火の帯せまる生ける如 | 小路日照 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
皆のかほ清々しくて初参り | 西川静枝 | |
マ | 大阪城おほり一周春うらら | 西川静枝 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | 西川静枝 | |
春寒や床抜けにくき日曜日 | 森 育子 | |
春泥の足重きまで重ねおり | 森 育子 | |
寛、起 | 箸置いて皆のおしゃべり新年会 | 森 育子 |
起 | 探梅行気乗りのしない夫乗せて | 森 育子 |
静 | 旅心ようやく静め春を待つ | 森 育子 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
日、寛、マ | わが歳のしのぎ切れざる余寒かな | 森美起夫 |
和 | 草餅を求め幸せ噛みしめる | 森美起夫 |
宏 | 梅の香や待ちくたびれしバスの列 | 森美起夫 |
日 | 春めきて提琴の音(ね)の踊りけり | 森美起夫 |
春寒や到着遅き無人駅 | 森美起夫 |
3月定例句会 | 365回 | 17.3.27 | 山野 興仁会館 |
和、マ | 凍し夜のカーブに白き花の出ず | 伊奈寛雄 |
抱擁の影を包みしボタン雪 | 伊奈寛雄 | |
マ | 鴨の群れ雪の水面に動かざる | 伊奈寛雄 |
早 | あちこちに飛沫をあげて寒烏 | 伊奈寛雄 |
遅霜に忘れし花の枯れ急ぐ | 伊奈寛雄 | |
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日、育 | 早蕨を生けて仏間に風入れる | 荊木和代 |
寛、静 | 旅寫真眺めて深夜春炬燵 | 荊木和代 |
熱燗にめがね曇らせ夫の忌 | 荊木和代 | |
囀(さえず)りも耳にせぬ朝大嵐 | 荊木和代 | |
マ | 一枚め2枚め脱ぎて春日向 | 荊木和代 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
春の海瞳に映し涙拭く | 尾尻宏介 | |
早 | 気合い入れ出できし野良に春の雪 | 尾尻宏介 |
農の庭アネモネの赤むなしき赤 | 尾尻宏介 | |
日 | ふっきれずまだ胸重く初ツバメ | 尾尻宏介 |
春の雪行きずりの婆アメくれる | 尾尻宏介 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
石仏に室の花咲き春浅し | 梶本マサエ | |
春の雪赤子素足や柔かと | 梶本マサエ | |
育 | 若き日を友と語りぬ日脚伸ぶ | 梶本マサエ |
静 | 初節句指さす赤子微笑みて | 梶本マサエ |
宏 | 片言の少し口にや春の風 | 梶本マサエ |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
静 | 門出での草履一足春の庭 | 坂口早苗 |
背の子がおとり春泥飛びそこぬ | 坂口早苗 | |
宏 | 恋をする乙女の口元風光る | 坂口早苗 |
静 | 振りむかず花嫁出ずる春の門 | 坂口早苗 |
日、寛、宏 | 門出でに灯明おどる春座敷 | 坂口早苗 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和、育 | 日溜りは母のふところ日向ぼこ | 小路日照 |
潮ノ岬末黒野たりよ黒岬 | 小路日照 | |
和、宏 | 老園長教育論ず雛祭 | 小路日照 |
卒業式はるかな軋み一輪車 | 小路日照 | |
宏、マ | 火の粉舞ふ闇の喚声お水とり | 小路日照 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
チツチロコ住吉大社でひろてくる | 西川静枝 | |
桃の花梅の花咲春いっぱい | 西川静枝 | |
大阪城の松のチッチロコ大切に | 西川静枝 | |
テレビで鯖の煮るのにチョコレート | 西川静枝 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
寛、マ | 春泥の行きつ戻りつ輪だち跡 | 森 育子 |
日、寛、早 | 柔らかき紙より出でし雛の顔 | 森 育子 |
マスクして目ン玉ばかり春の雪 | 森 育子 | |
ローソクを一気に消して卒園す | 森 育子 | |
和、早 | ヒヤリング老いに手ごわし入試解く | 森 育子 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
永き日やたまの病の床に伏し | 森美起夫 | |
早、育 | 春光にまとはれあくび噛み殺す | 森美起夫 |
静 | 脇道に車を止めて清水汲む | 森美起夫 |
日、和、寛、育 | 春灯のまたたき弱く堂の中 | 森美起夫 |
数へども数へ切れざる年の豆 | 森美起夫 |
4月定例句会 | 366回 | 17.4.27 | 山野 興仁会館 |
起 | 車窓より花柄衣紀三井寺 | 伊奈寛雄 |
日、育 | 一斉の芽吹モコモコ山太る | 伊奈寛雄 |
思う事逃げん桜花の下に寄る | 伊奈寛雄 | |
山桜鹿の子模様に在り家みす | 伊奈寛雄 | |
日、育、マ、早、美 | うすずみに沈みゆくなり花吉野 | 伊奈寛雄 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
日、早、美 | 上人の通夜の灯りに白木蓮 | 荊木和代 |
早、起 | 故郷(ふるさと)の櫻散り敷く学舎跡 | 荊木和代 |
我一人明日の膳にと蕨摘む | 荊木和代 | |
古家の屋敷を飾る紅牡丹 | 荊木和代 | |
ありし日の亡夫の植えし紅櫻 | 荊木和代 | |
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寛 | 春の海隔てし波止は真直ぐなる | 尾尻宏介 |
育、和、マ、早、美 | 母が追う視線は我が子入園式 | 尾尻宏介 |
鏡に映る人も飲んでる春の夜 | 尾尻宏介 | |
花冷えや一人だけ入る湯を満たす | 尾尻宏介 | |
日、育、和、マ、早 | 堂奥の秘仏に万緑とどかざり | 尾尻宏介 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
仰げばや樹々咲きみちて零れくる | 梶本マサエ | |
いゝお顔町一眺め芽ぶく梅(梅観音にて) | 梶本マサエ | |
浄土にと旅立つ僧や花彼岸 | 梶本マサエ | |
犬ふぐり指定席なり腰下す | 梶本マサエ | |
宏 | タンポポの土掴かまえて道ん中 | 梶本マサエ |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和 | 五月晴逆巻く鯉や昼の月 | 坂口早苗 |
宏、起 | 髪解けば花びらはらり夕鏡 | 坂口早苗 |
落日に鉾納めたり鯉のぼり | 坂口早苗 | |
和 | 草ひばり声の遠のく眠気かな | 坂口早苗 |
マ | 落雲雀姿めぐりて走りけり | 坂口早苗 |
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美 | 春昼の気をうてりマンモスの牙 | 小路日照 |
育、宏 | 春昼やマンモスの雄叫び有りや | 小路日照 |
寛 | 屋外の鐘入り舞台蝶横切る | 小路日照 |
雪洞の灯の射す辺り花盛り | 小路日照 | |
宏 | 若き娘の上司に語る万愚節 | 小路日照 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和、マ | 春の雪山の仏の頭(ず)を隠す | 森 育子 |
寛、起 | 黄砂降り異国の景を包みけり | 森 育子 |
寛 | 白木蓮咲きて通夜のあかりとす | 森 育子 |
起 | 転がれる小鼓拾い雛納め | 森 育子 |
十升の酒空ける老人等(ひとら)花の昼 | 森 育子 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
寛、美 | 草鎌を研ぐ音しきり春隣 | 森美起夫 |
日 | 反り屋根の先に青空梅日和 | 森美起夫 |
合格の番号眩し寒の明け | 森美起夫 | |
宏 | 黒板も拭き清められ新学期 | 森美起夫 |
春眠や目覚まし止めてまだ起きず | 森美起夫 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
一才の孫の歩みや日永中 | 山田美幸 | |
都会(まち)暮らし望郷募る春夕焼け | 山田美幸 | |
万緑や新生なりしふる里は | 山田美幸 | |
跳ね鯉に男子(おのこ)乗ろおり初節句 | 山田美幸 | |
開帳の観音さまの目に打たる | 山田美幸 |
5月定例句会 | 367回 | 17.5.27 | 山野 興仁会館 |
和、起 | 新町の産声ありて鯉のぼり | 伊奈寛雄 |
マ、美 | 藤ロード若やぐ声に追い抜かる | 伊奈寛雄 |
美 | 野あざみのなで切られたり登校路 | 伊奈寛雄 |
起 | 春宵やピアノの音に立ち止まる | 伊奈寛雄 |
マ | 窓いっぱい木の芽風受けひた走る | 伊奈寛雄 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
美 | 豌豆を巧みにむきて夕餉の膳 | 荊木和代 |
初鰹亡夫と並べし膳思ふ | 荊木和代 | |
牡丹咲き芍薬咲いて日は進む | 荊木和代 | |
朧月会いたき人が一人いて | 荊木和代 | |
春の海ゆっくりと行く大型船 | 荊木和代 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
育 | 新緑真直ぐようやく見えし随心門 | 尾尻宏介 |
一冬の汚れを乗せし残り雪 | 尾尻宏介 | |
和 | 新緑に染まりし女とすれ違ふ | 尾尻宏介 |
ストーブを薄暗がりに納めたり | 尾尻宏介 | |
深祈る女のうなじ鐘供養 | 尾尻宏介 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
花みかん香りて夕餉早きかな | 梶本マサエ | |
著我の花引き寄せられて橋袂 | 梶本マサエ | |
早 | 訪ね来ず友病み臥せて青葉木菟 | 梶本マサエ |
葱坊主天へ空えと突立ちぬ | 梶本マサエ | |
起 | 風光る一服楽し野良仕事 | 梶本マサエ |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
日 | すでにある男の匂ひ嬰の汗 | 坂口早苗 |
日 | 雨後の空つばめ飛び交う峡の朝 | 坂口早苗 |
マ、宏 | 老の杖軒に立てかけ夏山家 | 坂口早苗 |
育 | 早暁に残月赤き夏はじめ | 坂口早苗 |
起 | 砂浜の白さまぶしき風五月 | 坂口早苗 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
美 | 跡取り子生まれ矢車よく回る | 小路日照 |
早、宏、育 | 髪切って五月の鬱気(うつき)解き放つ | 小路日照 |
美、宏 | ご開帳衆生瞰下の御目かな | 小路日照 |
早、和 | 薫風の鬢ゆらしたる抹茶席 | 小路日照 |
人いきれも烏賊焼きの香も鐘供養 | 小路日照 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
ロボットに夏を抱かれ地球博 | 森 育子 | |
早、宏 | 墓筒に水なみなみと立夏かな | 森 育子 |
河鹿鳴く闇のしじまをふるわせて | 森 育子 | |
泡噴いてあわやラムネの一気飲み | 森 育子 | |
泰山木花の香れる風巡る | 森 育子 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
早、和 | 魚市場朝の賑ひ初鰹 | 森美起夫 |
香水の一滴妻を際立たす | 森美起夫 | |
硝子戸を拭(ぬぐ)ひ清めて夏の朝 | 森美起夫 | |
日 | 夏草の伸びるに任せ村の墓地 | 森美起夫 |
実梅干す南部の里に風渡る。 | 森美起夫 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
日、育 | 産守の大役終えし朝寝かな | 山田美幸 |
日、起 | 愛犬の毛替わり忙(せわ)し夏に入る | 山田美幸 |
マ、和、宏、育 | 鵜の首の羽毛艶やか夏きざす | 山田美幸 |
マ | 囀りの重奏に早や駆け出しぬ | 山田美幸 |
黄緑の酸素あふるる新樹道 | 山田美幸 |
6月定例句会 | 368回 | 17.6.27 | 山野 興仁会館 |
ホーホケキョ上手になりて峪深し | 伊奈寛雄 | |
宏、和、起 | 空梅雨に又天仰ぎ農家路 | 伊奈寛雄 |
和 | 緑陰にチャペルの白さ目に強し | 伊奈寛雄 |
水引きて蛙一勢声を上ぐ | 伊奈寛雄 | |
燕集(よ)る皆一向きに頭(ず)を揃え | 伊奈寛雄 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
早、起 | 湖畔行く新樹水面に逆立ちす | 荊木和代 |
新緑をあびた茅屋の記念館 | 荊木和代 | |
起 | 磐梯の地酒しっとり五月晴 | 荊木和代 |
五月晴れ遺徳を偲ぶ記念館 | 荊木和代 | |
都出てバスは青田をひた走る | 荊木和代 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
青さ濃き草餅農より頂きし | 尾尻宏介 | |
満タンの水路で洗ふ早苗箱 | 尾尻宏介 | |
和 | 通夜和讃まだ続きいて蛍舞ふ | 尾尻宏介 |
育 | 梅雨空に鉈の刃先の鈍光 | 尾尻宏介 |
美、育 | 水溜まり子供ら嬉々と梅雨最中 | 尾尻宏介 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
美、寛 | 鶏鳴に朝のはじまる瓜の花 | 坂口早苗 |
美 | 淀みなく六月の水田に急ぐ | 坂口早苗 |
やはらかき谺を返す若葉山 | 坂口早苗 | |
日、美 | 猫の耳梅雨の兆しを風に観る | 坂口早苗 |
寛 | 実梅採り俄か竈で茶粥焚く | 坂口早苗 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
宏、育 | 代掻きや区画整理の近江の田 | 小路日照 |
宏、早、寛、育 | 徒歩鵜匠錆声低く鵜に発す | 小路日照 |
滔々と田溝流れる植田水 | 小路日照 | |
和、起 | 田植終ゆ青一色の峡の里 | 小路日照 |
宏 | ライダーの緑風を切り緑射す | 小路日照 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
剪定の音に隣人声かける | 森 育子 | |
走り梅雨園児の後に走り込む | 森 育子 | |
日 | 父の日の父はもうなく一日過ぐ | 森 育子 |
日 | 白日傘万の人寄せ地球博 | 森 育子 |
嬰の声雄叫びのよう風薫る | 森 育子 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
美 | 父の日や父は多くを語らざり | 森美起夫 |
早、起 | 母の日の父は二階で一人酒 | 森美起夫 |
草刈のあと掌の傷を舐め | 森美起夫 | |
まくなぎに囲まれ畦に座り込む | 森美起夫 | |
日、早 | 母の日や単身赴任の父戻る | 森美起夫 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和、日、育 | 開襟の首の自由よ更衣 | 山田美幸 |
早 | 幼子(おさなご)に絵本数冊梅雨に入る | 山田美幸 |
ナメクジラギンギラ絵地図を残しけり | 山田美幸 | |
和、寛、起 | 法螺貝の響きて梅雨の峰けむる | 山田美幸 |
寛 | 新樹道見え隠れして行者駆く | 山田美幸 |
7月定例句会 | 369回 | 17.7.30 | 藤井 大吉 |
梅雨最中こゝにぎわえりお食い初め | 伊奈寛雄 | |
美 | 青嵐白蝶なるか揉まれ行く | 伊奈寛雄 |
炎天に影をたどりてビル谷間 | 伊奈寛雄 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
眼を放す一瞬蝮草叢に | 荊木和代 | |
大蕗の甘さ辛さも北の味 | 荊木和代 | |
梅雨空に雲上飛行や雲の意図 | 荊木和代 | |
早、起 | 梅雨晴れ間竿いっぱいの洗い物 | 荊木和代 |
背を伸ばしバス待つ木陰夕薄暑 | 荊木和代 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
寛 | 一両列車霧の原野に吸い込まる | 尾尻宏介 |
氏子らは祭り弁当食いつくす | 尾尻宏介 | |
日、マ | 眼覚ませば蝉の次元に浮かびいる | 尾尻宏介 |
育 | 喜雨の来て飼い犬土間で鼾かく | 尾尻宏介 |
日曜日麦わら帽子の組合長 | 尾尻宏介 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
育、和 | 手をついて二匹葉に坐し青蛙 | 梶本マサエ |
母を追う幼一人よ青葉風 | 梶本マサエ | |
日 | 見送られ帰らぬ吾子や雲の峰 | 梶本マサエ |
育、美 | 夢のごと永久の眠りよ遠蛙 | 梶本マサエ |
宏 | 孫学ぶ上ル下ルの京の夏 | 梶本マサエ |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
日 | お揃ひの宿の浴衣にある縁 | 坂口早苗 |
神木に子鴉囃す村祭り | 坂口早苗 | |
和 | 鉄砲百合四方に狙ひを定めをり | 坂口早苗 |
寛 | ぼってりと空より低き梅雨の月 | 坂口早苗 |
美 | 歩み初む男の子に負わす土用餅 | 坂口早苗 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
マ、起 | 谺さす峡の棚田の威し筒 | 小路日照 |
雪渓の真近く見れば白ならず | 小路日照 | |
宏 | 夏山の火山湖映すものはなし | 小路日照 |
育、マ、起 | 炎昼や鉄打つ谺鉄工所 | 小路日照 |
和 | ひょこひょこと青鷺歩む水田中 | 小路日照 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
美 | 夏座敷納戸あらわに風通す | 森 育子 |
起 | 梅雨晴れ間体のせかせ柴括る | 森 育子 |
木の上に猫の見えたる夕薄暑 | 森 育子 | |
短夜の耳にやさしきピッチカート | 森 育子 | |
日、宏、寛、早 | 地下足袋の漢(おとこ)無口や汗拭ふ | 森 育子 |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和、美 | 父の背を流すがごとく墓洗ふ | 森美起夫 |
宏 | 昼寝して奈落の底を這ひ回る | 森美起夫 |
マ、早 | お下がりの似合ふ吾が子や更衣 | 森美起夫 |
マ | 揚花火すべては海に消えにけり | 森美起夫 |
通る道ふさぎて土手の曼珠沙華 | 森美起夫 | |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ | ||
和、寛 | 虫干やしつけ解かれず亡母(はは)の物 | 山田美幸 |
日、寛、起 | 登山靴脱ぎて足湯に一休み | 山田美幸 |
育、宏、早 | 梅雨明の空へ岩峰立ち上がる | 山田美幸 |
欲しい物無きも出向きし夏バーゲン | 山田美幸 | |
早 | 渾身の一振り白球雲の峰 | 山田美幸 |
8月定例句会 | 370回 | 17.8.27 | 山野 興仁会館 |
花クラゲ天海乱舞揚花火 | 伊奈寛雄 | |
マ | 動き止め仰(あお)向く蝉の鳴き続く | 伊奈寛雄 |
空蝉も籠にありたり夏休み | 伊奈寛雄 | |
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美・宏 | キャンプ場の更けてせせらぎあるばかり | 伊奈寛雄 |
マ・起 | 風鈴の舌も動かぬ昼下がり | 荊木和代 |
日・マ・寛・宏・育 | 踊るかに焼かれし鮎の塩化粧 | 荊木和代 |
日 | サングラス掛て額ずく祖父墓前 | 荊木和代 |
美 | そこ此処に案山子出揃い穂波立つ | 荊木和代 |
寛 | 早朝に棚行急ぐ盆の僧 | 荊木和代 |
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尺花火子宮に響く日も在りし | 尾尻宏介 | |
マ | 寄り添えば花火が嫉妬炸裂す | 尾尻宏介 |
風死して巷の音の蘇る | 尾尻宏介 | |
開け放つ縁に灯して霊迎う | 尾尻宏介 | |
育 | 風待ちの昔話や浦の涼 | 尾尻宏介 |
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寛・育 | 七七日務め夏風背なを押す | 梶本マサエ |
日・美 | 遺されて迎え火たくや老いし母 | 梶本マサエ |
盆支度オガラ松明吾子を待つ | 梶本マサエ | |
和 | 炎昼や重たき程の汗を脱ぐ | 梶本マサエ |
寛 | もこもこと白きを担げ蟻のむれ | 梶本マサエ |
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海人の魂漂ふ浦に秋の潮 | 坂口早苗 | |
盆燈籠うすき月夜の中に吊る | 坂口早苗 | |
マ・宏 | 秋時雨目鼻研がれし石地蔵 | 坂口早苗 |
結城着し母の姿や白日傘 | 坂口早苗 | |
育 | 嫋やかに裏葉の柳や風白し | 坂口早苗 |
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垂花火クラゲのごとく空に浮く | 小路日照 | |
美 | 新涼や宇宙飛行士帰りたる | 小路日照 |
浜干し場しらじらと石天の川 | 小路日照 | |
和・起 | 炎天下声もかすれる延長戦 | 小路日照 |
起 | 灯に映える乙女等跳ねしねぶた哉 | 小路日照 |
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起 | 六十路坂乗馬レッスン雲の峰 | 森 育子 |
黄萓咲く群生割って女子大生 | 森 育子 | |
宏 | 夏の朝アウアウと嬰目覚めけり | 森 育子 |
乳母車揺すれとふ嬰夏の夕 | 森 育子 | |
施餓鬼会や僧の背より一服の茶 | 森 育子 | |
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和 | 球場に大歓声の大暑かな | 森美起夫 |
家の戸を揺らす浜辺の大花火 | 森美起夫 | |
宏 | 新築の屋根が遮る遠花火 | 森美起夫 |
美・和 | 日焼けの子共に黒さを誇りけり | 森美起夫 |
満水のダムのほとりでラムネ飲む | 森美起夫 | |
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日 | 鰻焼く親父の顔や土用昼 | 山田美幸 |
日・和・起 | 清流に時を忘れて帰省の子 | 山田美幸 |
幼き手合わせて「あん」と魂送る | 山田美幸 | |
寛 | 送り火もぽつぽつなりし過疎の村 | 山田美幸 |
育 | ひと降りの土の臭ひや今朝の秋 | 山田美幸 |
9月定例句会 | 371回 | 17.9.27 | 山野 興仁会館 |
10月定例句会 | 372回 | 17.10.27 | 山野 興仁会館 |
11月定例句会 | 373回 | 17.11.27 | 山野 興仁会館 |
12月定例句会 | 374回 | 17.12.27 | 山野 興仁会館 |