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平成17年定例句会

1月定例句会 363回 17.1.27 山野 興仁会館


年玉の袋用意や臥せし女 伊奈寛雄
神の庭足踏み入れて年開くる 伊奈寛雄
初明かり迎えし鳥の点となり 伊奈寛雄
大根干すガードレールで脚競う 伊奈寛雄
露天風呂朝日に映える石蕗の花 伊奈寛雄
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
小豆煮る香りただよう大晦日 荊木和代
静、宏、育、寛 初仕事老いを見せじと鍬を振る 荊木和代
駅伝に沸く箱根道や山眠る 荊木和代
初夢や亡夫と語る床の中 荊木和代
百歳の母を訪ねる小正月 荊木和代
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サーチライト風花何気なく斬りし 尾尻宏介
秋空に田圃をまかせ離農せり 尾尻宏介
早、美 ジーンズの破れ目闊歩冬の街 尾尻宏介
日、マ 暗きに立つ仏に向き合う初詣 尾尻宏介
かの人の賀状もいちど読み直す 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
小豆煮る厨に香る小正月 梶本マサエ
和、宏、育、寛 初春や土の匂いの友の来て 梶本マサエ
慈顔なり地蔵笑みおり初詣 梶本マサエ
指を吸ふ嬰(やや)にやさしき春の風 梶本マサエ
穏やかに曾孫抱きつつ初笑い 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
鶏鳴に酉年明くる山の里 坂口早苗
静、和、育、寛 初膳や箸に印せし家族の名 坂口早苗
竿売りの呼び声長く霜の朝 坂口早苗
美、静、和 孫の酌朱盃に受くるおらが春 坂口早苗
ねんねこの眠ればこたゆ背の重み 坂口早苗
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早、和、起 願い込め力の一打除夜の鐘 小路日照
山伏の法螺寒行をささえたり 小路日照
山下る杣天秤に炭担ぐ 小路日照
亭主女の薄紅のみの初茶席 小路日照
冬ざれの道を嗅ぎゆく痩せ犬よ 小路日照
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手を合わせ孫の差し出すお年玉 西川静枝
指おりつ道をばあるく我が姿 西川静枝
若い子の葬式まいり涙おち 西川静枝
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蛇口より若水汲みて口すすぐ 森  育子
賽銭の底まで届き年明ける 森  育子
美、静、マ 老いの頬幼子に寄せ初笑ひ 森  育子
三門を一族で占め初写真 森  育子
幕下りて茶買い走る初芝居 森  育子
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日、早 新しき句帖開きて年迎ふ 森美起夫
受信せしメール溜りて六日かな 森美起夫
宅急便にこにこ届く初荷かな 森美起夫
還暦の顔寄せあつめ新年会 森美起夫
日、早、育、寛 武将凧昇りて下界睨みけり 森美起夫
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日、宏、育 雪の底蛇(じゃ)の如潜む活断層 山田美幸
被災地の十年問いし初景色 山田美幸
初詣晴れ着姿の犬連れて 山田美幸
新春の美(は)しき言祝筆に乗す 山田美幸
日、寛 酢茎菜(すぐきな)をくるくる解けば室(むろ)の味 山田美幸




2月定例句会 364回 17.2.27 山野 興仁会館


五体投地(ひじつき)の僧ひるがえる二月堂 伊奈寛雄
しぶき立て雪の浅瀬に烏(からす)二羽 伊奈寛雄
修二会行シャラシャラ僧の紙衣 伊奈寛雄
育、和 春一番山を動かし花粉起(た)つ 伊奈寛雄
日、育、宏 縮むだけ縮めて走る氷雨中 伊奈寛雄
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
晴れた句の思案つかぬや春火燵 荊木和代
春暁や野良着の亡夫夢に出る 荊木和代
紅椿紅の一口開きけり 荊木和代
同窓の古希を迎えて観梅に 荊木和代
バレンタイン遺影の前にチョコレート 荊木和代
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
転がって思わぬ所に春の空 尾尻宏介
家路とぼとぼここも幸せ「鬼は外」 尾尻宏介
日、起 雪女壁にも気配冬別荘 尾尻宏介
春の香のまだ無き斜面の草に座す 尾尻宏介
節分の二つ穴開く紙の面 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
一握り零れる程に年を取り 梶本マサエ
切干しの雲に遊ばれ日向追う 梶本マサエ
幼な友黄泉路一人よ春浅し 梶本マサエ
笑み浮かべ新年会や酒の顔 梶本マサエ
友杖を笠を忘れず春黄泉路 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
宏、マ 棟梁の段取り話す焚火かな 坂口早苗
遅れ咲く庭の山茶花尚赤く 坂口早苗
門いれに灯明おどる春座敷 坂口早苗
和、マ、起 風の子の頬を真っ赤に冬帽子 坂口早苗
青海苔の飛沫もきらり舟に入れ 坂口早苗
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
育、宏、寛 青海苔の飛沫もきらり舟に入れ 小路日照
選句果て葛湯飲む間の話かな 小路日照
ポッカリと雲間に見える春気配 小路日照
育、宏、寛 白息の一塊とびて僧の喝 小路日照
寛、マ 芝焼きの火の帯せまる生ける如 小路日照
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
皆のかほ清々しくて初参り 西川静枝
大阪城おほり一周春うらら 西川静枝
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 西川静枝
春寒や床抜けにくき日曜日 森  育子
春泥の足重きまで重ねおり 森  育子
寛、起 箸置いて皆のおしゃべり新年会 森  育子
探梅行気乗りのしない夫乗せて 森  育子
旅心ようやく静め春を待つ 森  育子
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日、寛、マ わが歳のしのぎ切れざる余寒かな 森美起夫
草餅を求め幸せ噛みしめる 森美起夫
梅の香や待ちくたびれしバスの列 森美起夫
春めきて提琴の音(ね)の踊りけり 森美起夫
春寒や到着遅き無人駅 森美起夫




3月定例句会 365回 17.3.27 山野 興仁会館
選句後の整理しないまま保存したため選句用で載せました。


和、マ 凍し夜のカーブに白き花の出ず 伊奈寛雄
抱擁の影を包みしボタン雪 伊奈寛雄
鴨の群れ雪の水面に動かざる 伊奈寛雄
あちこちに飛沫をあげて寒烏 伊奈寛雄
遅霜に忘れし花の枯れ急ぐ 伊奈寛雄
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日、育 早蕨を生けて仏間に風入れる 荊木和代
寛、静 旅寫真眺めて深夜春炬燵 荊木和代
熱燗にめがね曇らせ夫の忌 荊木和代
囀(さえず)りも耳にせぬ朝大嵐 荊木和代
一枚め2枚め脱ぎて春日向 荊木和代
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
春の海瞳に映し涙拭く 尾尻宏介
気合い入れ出できし野良に春の雪 尾尻宏介
農の庭アネモネの赤むなしき赤 尾尻宏介
ふっきれずまだ胸重く初ツバメ 尾尻宏介
春の雪行きずりの婆アメくれる 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
石仏に室の花咲き春浅し 梶本マサエ
春の雪赤子素足や柔かと 梶本マサエ
若き日を友と語りぬ日脚伸ぶ 梶本マサエ
初節句指さす赤子微笑みて 梶本マサエ
片言の少し口にや春の風 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
門出での草履一足春の庭 坂口早苗
背の子がおとり春泥飛びそこぬ 坂口早苗
恋をする乙女の口元風光る 坂口早苗
振りむかず花嫁出ずる春の門 坂口早苗
日、寛、宏 門出でに灯明おどる春座敷 坂口早苗
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和、育 日溜りは母のふところ日向ぼこ 小路日照
潮ノ岬末黒野たりよ黒岬 小路日照
和、宏 老園長教育論ず雛祭 小路日照
卒業式はるかな軋み一輪車 小路日照
宏、マ 火の粉舞ふ闇の喚声お水とり 小路日照
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
チツチロコ住吉大社でひろてくる 西川静枝
桃の花梅の花咲春いっぱい 西川静枝
大阪城の松のチッチロコ大切に 西川静枝
テレビで鯖の煮るのにチョコレート 西川静枝
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寛、マ 春泥の行きつ戻りつ輪だち跡 森  育子
日、寛、早 柔らかき紙より出でし雛の顔 森  育子
マスクして目ン玉ばかり春の雪 森  育子
ローソクを一気に消して卒園す 森  育子
和、早 ヒヤリング老いに手ごわし入試解く 森  育子
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永き日やたまの病の床に伏し 森美起夫
早、育 春光にまとはれあくび噛み殺す 森美起夫
脇道に車を止めて清水汲む 森美起夫
日、和、寛、育 春灯のまたたき弱く堂の中 森美起夫
数へども数へ切れざる年の豆 森美起夫





4月定例句会 366回 17.4.27 山野 興仁会館


車窓より花柄衣紀三井寺 伊奈寛雄
日、育 一斉の芽吹モコモコ山太る 伊奈寛雄
思う事逃げん桜花の下に寄る 伊奈寛雄
山桜鹿の子模様に在り家みす 伊奈寛雄
日、育、マ、早、美 うすずみに沈みゆくなり花吉野 伊奈寛雄
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日、早、美 上人の通夜の灯りに白木蓮 荊木和代
早、起 故郷(ふるさと)の櫻散り敷く学舎跡 荊木和代
我一人明日の膳にと蕨摘む 荊木和代
古家の屋敷を飾る紅牡丹 荊木和代
ありし日の亡夫の植えし紅櫻 荊木和代
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春の海隔てし波止は真直ぐなる 尾尻宏介
育、和、マ、早、美 母が追う視線は我が子入園式 尾尻宏介
鏡に映る人も飲んでる春の夜 尾尻宏介
花冷えや一人だけ入る湯を満たす 尾尻宏介
日、育、和、マ、早 堂奥の秘仏に万緑とどかざり 尾尻宏介
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仰げばや樹々咲きみちて零れくる 梶本マサエ
いゝお顔町一眺め芽ぶく梅(梅観音にて) 梶本マサエ
浄土にと旅立つ僧や花彼岸 梶本マサエ
犬ふぐり指定席なり腰下す 梶本マサエ
タンポポの土掴かまえて道ん中 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
五月晴逆巻く鯉や昼の月 坂口早苗
宏、起 髪解けば花びらはらり夕鏡 坂口早苗
落日に鉾納めたり鯉のぼり 坂口早苗
草ひばり声の遠のく眠気かな 坂口早苗
落雲雀姿めぐりて走りけり 坂口早苗
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
春昼の気をうてりマンモスの牙 小路日照
育、宏 春昼やマンモスの雄叫び有りや 小路日照
屋外の鐘入り舞台蝶横切る 小路日照
雪洞の灯の射す辺り花盛り 小路日照
若き娘の上司に語る万愚節 小路日照
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和、マ 春の雪山の仏の頭(ず)を隠す 森  育子
寛、起 黄砂降り異国の景を包みけり 森  育子
白木蓮咲きて通夜のあかりとす 森  育子
転がれる小鼓拾い雛納め 森  育子
十升の酒空ける老人等(ひとら)花の昼 森  育子
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
寛、美 草鎌を研ぐ音しきり春隣 森美起夫
反り屋根の先に青空梅日和 森美起夫
合格の番号眩し寒の明け 森美起夫
黒板も拭き清められ新学期 森美起夫
春眠や目覚まし止めてまだ起きず 森美起夫
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
一才の孫の歩みや日永中 山田美幸
都会(まち)暮らし望郷募る春夕焼け 山田美幸
万緑や新生なりしふる里は 山田美幸
跳ね鯉に男子(おのこ)乗ろおり初節句 山田美幸
開帳の観音さまの目に打たる 山田美幸





5月定例句会 367回 17.5.27 山野 興仁会館


和、起 新町の産声ありて鯉のぼり 伊奈寛雄
マ、美 藤ロード若やぐ声に追い抜かる 伊奈寛雄
野あざみのなで切られたり登校路 伊奈寛雄
春宵やピアノの音に立ち止まる 伊奈寛雄
窓いっぱい木の芽風受けひた走る 伊奈寛雄
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豌豆を巧みにむきて夕餉の膳 荊木和代
初鰹亡夫と並べし膳思ふ 荊木和代
牡丹咲き芍薬咲いて日は進む 荊木和代
朧月会いたき人が一人いて 荊木和代
春の海ゆっくりと行く大型船 荊木和代
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
新緑真直ぐようやく見えし随心門 尾尻宏介
一冬の汚れを乗せし残り雪 尾尻宏介
新緑に染まりし女とすれ違ふ 尾尻宏介
ストーブを薄暗がりに納めたり 尾尻宏介
深祈る女のうなじ鐘供養 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
花みかん香りて夕餉早きかな 梶本マサエ
著我の花引き寄せられて橋袂 梶本マサエ
訪ね来ず友病み臥せて青葉木菟 梶本マサエ
葱坊主天へ空えと突立ちぬ 梶本マサエ
風光る一服楽し野良仕事 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
すでにある男の匂ひ嬰の汗 坂口早苗
雨後の空つばめ飛び交う峡の朝 坂口早苗
マ、宏 老の杖軒に立てかけ夏山家 坂口早苗
早暁に残月赤き夏はじめ 坂口早苗
砂浜の白さまぶしき風五月 坂口早苗
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
跡取り子生まれ矢車よく回る 小路日照
早、宏、育 髪切って五月の鬱気(うつき)解き放つ 小路日照
美、宏 ご開帳衆生瞰下の御目かな 小路日照
早、和 薫風の鬢ゆらしたる抹茶席 小路日照
人いきれも烏賊焼きの香も鐘供養 小路日照
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ロボットに夏を抱かれ地球博 森  育子
早、宏 墓筒に水なみなみと立夏かな 森  育子
河鹿鳴く闇のしじまをふるわせて 森  育子
泡噴いてあわやラムネの一気飲み 森  育子
泰山木花の香れる風巡る 森  育子
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
早、和 魚市場朝の賑ひ初鰹 森美起夫
香水の一滴妻を際立たす 森美起夫
硝子戸を拭(ぬぐ)ひ清めて夏の朝 森美起夫
夏草の伸びるに任せ村の墓地 森美起夫
実梅干す南部の里に風渡る。 森美起夫
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日、育 産守の大役終えし朝寝かな 山田美幸
日、起 愛犬の毛替わり忙(せわ)し夏に入る 山田美幸
マ、和、宏、育 鵜の首の羽毛艶やか夏きざす 山田美幸
囀りの重奏に早や駆け出しぬ 山田美幸
黄緑の酸素あふるる新樹道 山田美幸





6月定例句会 368回 17.6.27 山野 興仁会館


ホーホケキョ上手になりて峪深し 伊奈寛雄
宏、和、起 空梅雨に又天仰ぎ農家路 伊奈寛雄
緑陰にチャペルの白さ目に強し 伊奈寛雄
水引きて蛙一勢声を上ぐ 伊奈寛雄
燕集(よ)る皆一向きに頭(ず)を揃え 伊奈寛雄
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早、起 湖畔行く新樹水面に逆立ちす 荊木和代
新緑をあびた茅屋の記念館 荊木和代
磐梯の地酒しっとり五月晴 荊木和代
五月晴れ遺徳を偲ぶ記念館 荊木和代
都出てバスは青田をひた走る 荊木和代
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青さ濃き草餅農より頂きし 尾尻宏介
満タンの水路で洗ふ早苗箱 尾尻宏介
通夜和讃まだ続きいて蛍舞ふ 尾尻宏介
梅雨空に鉈の刃先の鈍光 尾尻宏介
美、育 水溜まり子供ら嬉々と梅雨最中 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
美、寛 鶏鳴に朝のはじまる瓜の花 坂口早苗
淀みなく六月の水田に急ぐ 坂口早苗
やはらかき谺を返す若葉山 坂口早苗
日、美 猫の耳梅雨の兆しを風に観る 坂口早苗
実梅採り俄か竈で茶粥焚く 坂口早苗
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宏、育 代掻きや区画整理の近江の田 小路日照
宏、早、寛、育 徒歩鵜匠錆声低く鵜に発す 小路日照
滔々と田溝流れる植田水 小路日照
和、起 田植終ゆ青一色の峡の里 小路日照
ライダーの緑風を切り緑射す 小路日照
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剪定の音に隣人声かける 森  育子
走り梅雨園児の後に走り込む 森  育子
父の日の父はもうなく一日過ぐ 森  育子
白日傘万の人寄せ地球博 森  育子
嬰の声雄叫びのよう風薫る 森  育子
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父の日や父は多くを語らざり 森美起夫
早、起 母の日の父は二階で一人酒 森美起夫
草刈のあと掌の傷を舐め 森美起夫
まくなぎに囲まれ畦に座り込む 森美起夫
日、早 母の日や単身赴任の父戻る 森美起夫
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和、日、育 開襟の首の自由よ更衣 山田美幸
幼子(おさなご)に絵本数冊梅雨に入る 山田美幸
ナメクジラギンギラ絵地図を残しけり 山田美幸
和、寛、起 法螺貝の響きて梅雨の峰けむる 山田美幸
新樹道見え隠れして行者駆く 山田美幸





7月定例句会 369回 17.7.30 藤井 大吉
伊奈寛雄氏、JA組合長就任祝賀句会

梅雨最中こゝにぎわえりお食い初め 伊奈寛雄
青嵐白蝶なるか揉まれ行く 伊奈寛雄
炎天に影をたどりてビル谷間 伊奈寛雄
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眼を放す一瞬蝮草叢に 荊木和代
大蕗の甘さ辛さも北の味 荊木和代
梅雨空に雲上飛行や雲の意図 荊木和代
早、起 梅雨晴れ間竿いっぱいの洗い物 荊木和代
背を伸ばしバス待つ木陰夕薄暑 荊木和代
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一両列車霧の原野に吸い込まる 尾尻宏介
氏子らは祭り弁当食いつくす 尾尻宏介
日、マ 眼覚ませば蝉の次元に浮かびいる 尾尻宏介
喜雨の来て飼い犬土間で鼾かく 尾尻宏介
日曜日麦わら帽子の組合長 尾尻宏介
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育、和 手をついて二匹葉に坐し青蛙 梶本マサエ
母を追う幼一人よ青葉風 梶本マサエ
見送られ帰らぬ吾子や雲の峰 梶本マサエ
育、美 夢のごと永久の眠りよ遠蛙 梶本マサエ
孫学ぶ上ル下ルの京の夏 梶本マサエ
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お揃ひの宿の浴衣にある縁 坂口早苗
神木に子鴉囃す村祭り 坂口早苗
鉄砲百合四方に狙ひを定めをり 坂口早苗
ぼってりと空より低き梅雨の月 坂口早苗
歩み初む男の子に負わす土用餅 坂口早苗
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マ、起 谺さす峡の棚田の威し筒 小路日照
雪渓の真近く見れば白ならず 小路日照
夏山の火山湖映すものはなし 小路日照
育、マ、起 炎昼や鉄打つ谺鉄工所 小路日照
ひょこひょこと青鷺歩む水田中 小路日照
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夏座敷納戸あらわに風通す 森  育子
梅雨晴れ間体のせかせ柴括る 森  育子
木の上に猫の見えたる夕薄暑 森  育子
短夜の耳にやさしきピッチカート 森  育子
日、宏、寛、早 地下足袋の漢(おとこ)無口や汗拭ふ 森  育子
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
和、美 父の背を流すがごとく墓洗ふ 森美起夫
昼寝して奈落の底を這ひ回る 森美起夫
マ、早 お下がりの似合ふ吾が子や更衣 森美起夫
揚花火すべては海に消えにけり 森美起夫
通る道ふさぎて土手の曼珠沙華 森美起夫
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
和、寛 虫干やしつけ解かれず亡母(はは)の物 山田美幸
日、寛、起 登山靴脱ぎて足湯に一休み 山田美幸
育、宏、早 梅雨明の空へ岩峰立ち上がる 山田美幸
欲しい物無きも出向きし夏バーゲン 山田美幸
渾身の一振り白球雲の峰 山田美幸





8月定例句会 370回 17.8.27 山野 興仁会館


花クラゲ天海乱舞揚花火 伊奈寛雄
動き止め仰(あお)向く蝉の鳴き続く 伊奈寛雄
空蝉も籠にありたり夏休み 伊奈寛雄
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
美・宏 キャンプ場の更けてせせらぎあるばかり 伊奈寛雄
マ・起 風鈴の舌も動かぬ昼下がり 荊木和代
日・マ・寛・宏・育 踊るかに焼かれし鮎の塩化粧 荊木和代
サングラス掛て額ずく祖父墓前 荊木和代
そこ此処に案山子出揃い穂波立つ 荊木和代
早朝に棚行急ぐ盆の僧 荊木和代
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
尺花火子宮に響く日も在りし 尾尻宏介
寄り添えば花火が嫉妬炸裂す 尾尻宏介
風死して巷の音の蘇る 尾尻宏介
開け放つ縁に灯して霊迎う 尾尻宏介
風待ちの昔話や浦の涼 尾尻宏介
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
寛・育 七七日務め夏風背なを押す 梶本マサエ
日・美 遺されて迎え火たくや老いし母 梶本マサエ
盆支度オガラ松明吾子を待つ 梶本マサエ
炎昼や重たき程の汗を脱ぐ 梶本マサエ
もこもこと白きを担げ蟻のむれ 梶本マサエ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
海人の魂漂ふ浦に秋の潮 坂口早苗
盆燈籠うすき月夜の中に吊る 坂口早苗
マ・宏 秋時雨目鼻研がれし石地蔵 坂口早苗
結城着し母の姿や白日傘 坂口早苗
嫋やかに裏葉の柳や風白し 坂口早苗
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
垂花火クラゲのごとく空に浮く 小路日照
新涼や宇宙飛行士帰りたる 小路日照
浜干し場しらじらと石天の川 小路日照
和・起 炎天下声もかすれる延長戦 小路日照
灯に映える乙女等跳ねしねぶた哉 小路日照
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
六十路坂乗馬レッスン雲の峰 森  育子
黄萓咲く群生割って女子大生 森  育子
夏の朝アウアウと嬰目覚めけり 森  育子
乳母車揺すれとふ嬰夏の夕 森  育子
施餓鬼会や僧の背より一服の茶 森  育子
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
球場に大歓声の大暑かな 森美起夫
家の戸を揺らす浜辺の大花火 森美起夫
新築の屋根が遮る遠花火 森美起夫
美・和 日焼けの子共に黒さを誇りけり 森美起夫
満水のダムのほとりでラムネ飲む 森美起夫
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
鰻焼く親父の顔や土用昼 山田美幸
日・和・起 清流に時を忘れて帰省の子 山田美幸
幼き手合わせて「あん」と魂送る 山田美幸
送り火もぽつぽつなりし過疎の村 山田美幸
ひと降りの土の臭ひや今朝の秋 山田美幸





9月定例句会 371回 17.9.27 山野 興仁会館


        

10月定例句会 372回 17.10.27 山野 興仁会館






11月定例句会 373回 17.11.27 山野 興仁会館





12月定例句会 374回 17.12.27 山野 興仁会館



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川辺俳句会
梔子