三重県かんきつ生産者 大会意見発表

平成10年9月13日、御浜町の中央公民館で、三重県かんきつ生産者大会 が開催されました。
席上、農業を考える会の瀬古勝信君が意見発表をしまし たので、内容をここに掲載します。


「魅力あるかんきつ栽培に夢を託す」

  瀬 古 勝 信
私は、御浜町でみかんの栽培をしている瀬古勝信です。
極早生、セミノールを2ha栽培しています。
私は、農業を始めて2年半ほどになります。

その間に結婚、家を建てたり、何かと慌ただしく、 このような場所で発表できるほどの知識や経験があるとは思えません。
今日ここで意見発表することを私自身が大変驚いています。

就農当初、農業で生活していくために、父親のみかん園の一部をを譲 り受けましたが、結婚をひかえ、それだけでは足りないので、足りな い分は購入することになりました。

農地を探していたところ、ちょう ど役場の農地銀行に私の希望に見合う農地が見つかったため、認定農 家に認定してもらい、農業経営基盤強化促進法の制度にのって、売り 手、買い手双方にメリットのある方法で農地を手に入れることができ ました。

私の求めていたみかん園の条件は、まず第一に近くに豊富な水源があ るかどうかということでした。
近年、夏場の長期干ばつが、みかんの 生育に大きな影響を与え問題となっています。

水源の確保は、これか らのみかん経営の中でも重要課題と言えるでしょう。
国営パイロット のように基盤整備をしたところはもちろん、既設園でもかん水設備の 整備を進めないと、荒廃園の増加は避けられないかもしれません。

ま た、河川やため池の有効利用も必要です。

目の前に水があるのに使え ないといのは、これから深刻な問題になると思います。
どんな品種を 作るにしても水は必要です。
水源の確保は第一に考えました。

次に第二の条件は、広い面積がまとまっていることです。
これからの みかんづくりは機械の導入が不可欠です。
特にSSでの防除作業は、 これからもより広がって行くでしょう。

SS導入による作業時間の短 縮と労力軽減により、より広い面積を栽培することができます。

第三は、父親から分けてもらったみかん園から近い場所であることで す。
SSの移動は、時間がかかるので、効率の良い経営をするために、 便利の良い移動に時間のかからない園地を探しました。

以上の点を考 慮して、農地を購入しました。

これからの農業は、高齢化が進み、農業従事者も減っていくので、次 世代の者は、より広い農地を引き継ぐことになるでしょう。
経営面積 が広くなれば、どうしても機械化が必要となります。

SSを導入する ことによって、他の全ての作業が効率的になります。
たとえば、SS 道を通すことによって、軽トラックが通り、施肥時に木のすぐ近くに 重い肥料を置くことができたり、収穫時に、コンテナの持ち運びが楽 になり、大きな労力の軽減につながります。

しかし、良いことばかり ではありません。
SSは、その使用範囲の特殊性から必然的に出荷台 数が少なく、量産されないため、価格が高いのが問題です。
部品が壊 れたときでも、ほとんどが特注部品のため、修理時間が長くかかりが ちです。
園地も、SS道の確保のために、木を切らなくてはなりませ ん。
反収が下がってしまいます。
しかし、荒廃園を作らないためにも、 機械化、省力化はこれからも推進しなければならないでしょう。

また、 農地の基盤整備、土地売買をスムーズにすることも必要だと思います。
私自身も農地の購入の際に、資金の手続きや名義変更などにずいぶん 時間がかかったように思います。

これから農地を拡大する人たちには もっとスムーズにできるようになってほしいものです。

そうすること によって、若い人も農業に取組みやすくなり、高齢の方も自分の年齢 に見合った経営ができるようになるのではないでしょうか。

これからの農業者と御浜町の農業を考えると「みかん作り」に夢や将 来をかけることができる魅力を持つことが大切です。
そして、その魅 力は誰に教えてもらうものでもなく、自分自身が自分なりの農業観を 持つことだと思います。

私の場合は、農業の自由さが好きです。また、 収穫の時に感じる、花が実になり、また来年に続くという、連続した 変化の中にも喜びを見い出すことができます。
私が就農したのも、だれかれに言われたわけではなく、やはり自分や ってみたいと思ったからです。

私の学生時代の友人の故郷では、組織 を弱体化させないために、ある年齢になると息子が親を継ぐことが義 務づけられていて、後継者のいない農家は組織にいることができない、 というようなことを聞き、若い後継者確保のために、そこまで厳しく やっていることに驚いたこともありました。

農学部ということもあっ て、友人たちの何人かは就農しました。
故郷の習慣に従い就農した者、 就職希望だったけれど父親の体調が悪くなって、就職せず就農した者、 みんなそれぞれの理由で農業を始めました。

彼らは、今非常に熱心に 農業に取組んでいて、いつも私は勉強させられます。彼らはそれぞれ の地域でも様々な活躍をしていて、昼夜を問わず出かけていることが 多く、なかなか連絡が取れません。

携帯電話も普及して、畑からでも 電話はできるのですが、相手の状況がわからないので長電話もできま せん。

そこで今考えているのが、電子メールです。
パソコンを使って、 画面上で手紙のやり取りをするのです。
電子メールなら相手の都合に 関係なく、情報を送ることができ、好きなときに読むことができます。

妻の友人にも電子メールを使う人が多く、そろそろパソコン導入を、 と考えています。
機械化は、SSなど屋外だけでなく、屋内の機械化 も必要だと考えています。
電子メールだけでなく、将来的には、自分 の経営分析や市場の情報収集、他産地との交流ができるくらいになれ ばと思っています。

まだ、半年前に携帯電話を持つようになり、それ も十分に使いこなせていないのにどうなることかとは思いますが、こ れも仕事とがんばって取り組むつもりです。
私がうれしいのは、やはり私のみかんを食べてくれた友人たちから 「おまえのみかんはうまい。」と言われたときです。

そのときは、農 業をしてよかった、みかんを作って良かったと思います。
みかんを食 べてくれる消費者の皆さんが満足し、市場の人たちからも「三重南紀 のみかんはすばらしい。」と言われるように、これからもみかんを一 生懸命作っていこうと思います。

市場には、売り込みのときに一度、 先輩の農家の方たちに同行をさせていただきました。
その時に、みん な三重南紀の産地全体のことを一生懸命考えているんだ、と、とても 頼もしく感じました。

私は、これまで産地を作ってきた多くの先輩方、 また、これからの産地を築いていく多くの仲間とともに、みかんづく りに励んで行きたいと思います。
今日は、どうもありがとうございま した。


ホームへ戻る