ーーーーー「SCOPE」 2002年3月号・
「医療・私の視点 3」より 一部抜粋ーーーー
パラメディカは、患者向け医学書の中古書店である。在庫1万冊、
そのうち3千冊が闘病記である。
店主の星野氏がリュックを背負って関東近県の古本屋をめぐり、
1冊1冊集めてきた。病気は、ある日突然、自分や家族に降り
かかってくる。その病気を理解したり受容するためには、同病者
の闘病記を読むのが一番わかりやすいということに気がついたの
が、パラメディカの創業のきっかけだった。インターネットで広告
を出し、全国の患者から注文を受ける。星野氏は在庫の闘病記
すべてに目を通していて、注文者の背景を聞き、あなたにはこの
闘病記がよいでしょうと相談にのるサービスもしている。
5〜6冊の闘病記を読めば
ひとくちに闘病記と言っても、本人が書いたもの、家族が書いた
もの、医師が書いたものと各種あります。
医学的な内容のものもあるし、病気によってもたらされた家族の
苦労が書いてある者もある。極端なのは、嫁が病気になって私の
息子は不憫だと、お姑さんが嫁さんとのチャンチャンバラバラを
書いている家庭騒動記もある。うちの姑のほうがまだましだ、と
読者が思う効用があるかもしれません(笑)
奥さんが病気になって旦那はただばたばたしているだけ、奥さん
にとってよい旦那ではなかったと思われる闘病記もある。
でも似たような旦那が読めばその人の気持ちがわかるのかも
しれません。闘病記はそれぞれがいろんな思いがあって書かれて
いるので、内容に優劣をつけたくないですね。
★闘病記を5〜6冊読むと、その病気がどんなものか大体見えて
きます。お医者さんが症例を5人経験したのと同じようなことです。
患者は一人一人違うというけれど、5人くらい読めば、大体自分は
その中間だと考えればイメージできる。
乳がんの闘病記が一番多くて、70種類くらい集めました。
どういう状況で誰の視点で書かれたのか、買う人が判断できるよう
にアドバイスをして販売しています。あとは胃がんと肺がんが多い。
★お客さんから問い合わせが多いのは小児がんです。親が懸命に
なって探している。最初のころは、白血病というくくりでホームページ
に載せていたのですが、うちの子は急性リンパ性白血病だけど、
どの本が該当するのかという問い合わせがあって、急性と慢性、
骨髄性とリンパ性と分けました。
小児がんでも横紋筋肉腫とか網膜芽細胞腫だとか、細かい病名を
指定して、この病気にかかった10歳くらいの子どもの闘病記が
ほしいという注文があります。
この前、「娘が白血病で母親がパニックになっている。骨髄移植を
受けた人の闘病記で、生きている人のものをみつくろって送ってくれ」
と親戚の方から頼まれて送ったことがあります。そのあとしばらくして、
亡くなった人の闘病記を読んでみたい、と追加で注文がきました。
インターネットが発達して
闘病記は自費出版が多いのですが、1冊出すのに250万円かかり
ます。売るルートがないから、1000冊刷って1000冊家にある。
知り合いに配るわけですけど、そんなに知り合いはいないし、健康な
人は読もうと思わないですよ。同じ病気の人に渡す手段がない。
ところがインターネットが発達して、全国の同じ病気の人たちに届ける
ことができるので、私のような商売が成り立つのです。
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パラメディカの本の購入は、インターネット上で行う。
http://member.nifty.ne.jp/PARAMEDICA/
を診て本を選び、注文メールを送る。後日、本と振り込み用紙が送ら
れてくる。値段はおよそ定価の半額、送料は380円である。
闘病記を読んだあとで、感想の手紙やメールをもらうことがあるという。
白血病で娘さんを亡くした母親から次のメールが届いた。
★「闘病記を読むことは、娘の闘病の確認作業、自分に納得させる
ことでもありました。
それはもっとこうすればよかったということではなくて、みんなそれぞれ
違うんだ、それでいいんだという、当たり前なようでいて、なかなかたど
り着けない思いに導かせるという意味合いでもありました」
それは星野氏自身がたどった道のりでもあった。