寄せられたお便りから

咲さんのターミナル・レポート

これは高校生の咲さんが夏休みに、自由研究で作成したレポートを送ってくださった
ものです。


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【小児へのターミナルケア】
1,はじめに
 小児がんにはたくさんの治療法があり治癒率も、大人に比べると高いです。
 しかし痛みや吐き気に苦しみながら、死んでいく子供たちもたくさんいます。
 そして、小児ガンのことを調べていて、こんな状況を改善するためのターミナルケ
アというものがあるということ、ターミナルケアが医療として浸透していないことを知りました。
 ターミナルケアというものが、どういうものなのかを知りたいと思い、調べることにしました。

2,ターミナルケアとは
 医療とは、一般的には、“病気を治すこと”と、思われています。
 しかし、身体的治療には、限界があります。
その限界が訪れ近い将来に死が近づいてきた時、残された時間を、その人らしく、
できるだけ快適に、生きる喜びを持って過ごせるようにサポートしていくことを“ターミナルケア”といいます。

 病気による肉体的苦痛や精神的苦痛を軽くすること、患者をとりまく家族や
近親者の精神的苦痛を軽くすることが目的です。
 また、長期にわたる治療のときも、ターミナルケアと同じようなことが、行われることがあります。

3,ターミナルケアの行われ方
≪身体的苦痛の軽減≫
 身体的苦痛には、痛み、吐き気、呼吸困難などがあります。
これらを上手にコントロールすることによって、日常生活を健康な時と同じように過ごすことができます。
 まずは、今まで行っていた検査や処置がもたらすメリットや、患者の受ける苦痛な
どを考え、不必要だと思われる検査や処置をやめることから始めます。
 日本では末期ガン患者の痛みの軽減には、“モルヒネ”が、よく使われます。

 モルヒネを上手く使うことにより、ガンによる痛みは、約85〜95%、完全に除去、
もしくは軽減されます。
 しかしモルヒネは麻薬のため、家族がモルヒネの利用に拒否的な態度をとり、
有効に利用できないということも少なくありません。

≪精神的苦痛の除去≫
 小児における精神的苦痛には、自宅へ帰りたいというような精神的なもの、学校へ行きたい、友達と遊びたいという社会的なもの、死んだらどこへ行くのだろうかなどという不安にかられる霊的なものが考えられます。
 このような不安に共感し受容することによって、精神的苦痛を軽減し支えることができます。

 また家族や近親者にこのような精神的苦痛を抱いていることを気づかせ、
家族や近親者も一緒にケアしていくことも、大切だと考えられます。

≪家族へのサポート≫
 一般的に、人は、年長者から順にしんでゆくという概念をもっており、そのため、“小児の死”は、受け入れがたく、わが子を看取る親は、深い絶望感や罪悪感をより強く感じます。
 それらを理解しようと努め、落ち着いて看取れるように考慮することも、家族への大切なサポートだと思われます。

 また、臨終後も、家族は落胆や苦悩を引きずり、それらを克服するには、
かなりの時間が必要です。そのため引き続き、サポートが必要だと思われます。

4,問題点
 現在、日本には、ターミナルケアを行うための施設である“ホスピス・緩和ケア病
棟”が、86施設しかなく、ガンとエイズ患者しか受け入れられていません。
 小児においては、専門の受け入れ施設は皆無に等しく、入院中に学校へ通うことなどは、大変難しいというのが現状です。
 また私たち日本人は、日常的に、死に対する意識が薄く、ターミナルケアやホスピスケアを、悲観的または否定的にとらえがちです。
 こうした観念が、ターミナルケアを行うための施設の充実を遅らせていると
考えられます。

 一般的には、発病後、まず積極的な治療が行われ、そののち
治療の限界が訪れて初めて、ターミナルケアが始められるのが現状ですが、
小児においては、発病後、積極的な治療と同時にターミナルケアが始められることが
望ましいと考えられます。
 (このような現状が、精神的苦痛を大きくしています。)

5,まとめ
 私たちは日常で、命あるものには必ず死が訪れることや、死について、
深く考える事は、あまりありません。 ターミナルケアのことを、調べるなかで、初めて、死ということが、どういうことなのかを考えました。
 健康で、長く生きることができれば、それに越したことはないと思います。
 でも、残された時間が短いとわかったなら、積極的に抗ガン剤などの治療をして自分を苦しめるよりも、残された時間を、その人らしく、有意義に過ごす方が、大切なのではないかな、と思いました。

 小児へのターミナルケアは、まだ数多くは、行われていません。
 その理由には、小児がんの治癒率が高いため、最後まで、積極的に治療が続けられることが多いということと、小児へのターミナルケアを行うための施設が整っていないということの、二つがあります。
 この施設が整えば、たとえ残された時間が短くても、患者が望めば、
院内学級に通ったりすることができるそうです。

 私たち一人一人が、“どう、生きるか”を考え、ターミナルケアやホスピスケアが、決して死ぬための行為でなく、生きるための行為であるということを理解することが、施設の充実につながると思います。(2002年)

6,参考文献
「ホスピスってなぁに」 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会
「退院後のがん患者支援ガイド」 日本ホスピス・在宅ケア研究会
「在宅ホスピス・ケアマニュアル」 高齢者在宅療養普及・啓発委員会
   マニュアル作成分科会

★(“在宅ホスピス・ケアマニュアル”の方は非販売のようです。
“退院後のがん患者支援ガイド”は、以下のようです。
   株式会社プリメド社
   〒大阪府大阪市淀川区宮原4−4−63
   рO6−393−7727   (1995年現在)




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